2016 Fiscal Year Annual Research Report
耐震的に脆弱な文化財組積造建造物の被災後の保存修復法
Project/Area Number |
16H01825
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
花里 利一 三重大学, 工学研究科, 教授 (60134285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上北 恭史 筑波大学, 芸術系, 教授 (00232736)
山口 謙太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (10274490)
藤田 香織 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20322349)
稲葉 信子 筑波大学, 芸術系, 教授 (20356273)
斎藤 英俊 京都女子大学, 家政学部, 教授 (30271589)
後藤 治 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (50317343)
新津 靖 東京電機大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70143659)
森井 順之 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 主任研究員 (30342942)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文化財建造物 / 組積造建造物 / 保存修復 / 地震 / 被害 |
Outline of Annual Research Achievements |
耐震的に脆弱な文化財組積造建造物は国内外の地震の度に、大きな被害を受けており、被災後の構造に関わる保存修復法は喫緊の課題である。本研究は、2015年ネパール地震で被災した文化財建造物を主たる研究対象とし、学際的かつ国際的な研究体制を組織し、保存修復における構造補強工法を提示することを目的としている。とくに、歴史的な視点もふまえて、『木材料』による補強工法の効果に着目する。また、2016年熊本地震および2011年東日本大震災で被災した文化財組積造物の保存修復法も合わせて研究対象としている。 2016年度は、初年度として、2015年ネパール地震で被災した文化財組積造建造物の修復状況の調査を実施した。調査では、修復状況の視察のほか、被災建物の寸法等の建築調査、常時微動調査、地震モニタリング調査、材料の劣化調査、地盤・地震動の調査を行った。さらに、ネパールにおいて、組積造建造物の補強に関わる構造要素実験を実施した。海外の被災文化財建造物の調査では、ネパールのほか、2006年ジャワ島中部地震および2013年フィリピン・ボホール地震、2016年イタリア中部地震による文化財組積造建造物の修復に関する研究情報収集を行った。国内では、熊本地震で被災した文化財組積造建造物の調査を実施した。 主たる研究対象国のネパールでは国際ワークショップを開催した。また、ネパールおよびイタリアから研究協力者を招聘し、研究情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究はおおむね計画どおりに実施しているが、ネパールで行う計画であった構造実験が、ネパール側の事情ですべて完了できなかった。この実験は、ネパールの被災文化財建造物の保存修復法の提案に向けて『木材料』を用いた補強工法に関する構造実験を研究協力者の所属する大学で行うものであるが、実験場所や担当者の問題により、実験の完了が次年度まで延期になった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的を達するために、引き続き、学際的かつ国際的な研究体制で 1)2015年ネパール地震で被災した文化財組積造建造物の保存修復法に関する調査、2)被災した文化財組積造建造物の補強事例と技術動向に関する国内外の事例調査、3)『木材料』を用いた組積造建造物の補強および耐震性に関する構造実験を行う。また、新しい技術として、動的挙動のモニタリング技術を文化財建造物に展開する。引き続き、海外の研究協力者と連携し、保存修復法の提示に向けて、国際的な活動を進める方針である。
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Research Products
(17 results)