2017 Fiscal Year Annual Research Report
分子運動性超分子の異方性スキャホールドによる歯根の安定保持可能な歯周組織の再生
Project/Area Number |
16H01852
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
由井 伸彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70182665)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 聰 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (00280628)
有坂 慶紀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (70590115)
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251544)
田村 篤志 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (80631150)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ポリロタキサン / 分子運動性 / スキャホールド / 歯根膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリロタキサンは多数の環状分子を線状高分子が貫通した超分子構造体であり、その構造特性として環状分子が線状高分子鎖に沿って運動する分子運動性が期待される。これまでにこのポリロタキサンを被膜した動的表面の分子運動性調節によって細胞機能が操作できることを報告している。本研究課題では、分子運動性が傾斜分布したポリロタキサンゲルを細胞接着足場として作製し、硬組織と軟組織とから構成される複合組織である歯周組織の再生基盤技術を確立することに取り組む。平成29年度は、ポリロタキサン架橋剤を主成分としたヒドロゲル上における細胞機能応答について解析を行った。ポリロタキサンヒドロゲルを用いて線維芽細胞の培養を行ったところ、細胞の初期接着性が究めて低く、僅かに接着した細胞は分子運動性調節に関わらずその伸展がほとんど認められなかった。そこで細胞接着を促すウシ血清タンパク質やフィブロネクチンをゲル表面にコーティングすることを試みたが、細胞接着性の改善には至らなかった。そのため新たなポリロタキサン架橋剤としてシクロデキストリン部位に細胞接着性ポリペプチドであるアルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)モチーフを修飾したRGD-ポリロタキサン架橋剤を設計・合成した。このRGD-ポリロタキサン架橋剤を用いてヒドロゲルと作製したところ、細胞の初期接着性および伸展性が向上した。RGDモチーフを修飾していないヒドロゲルにおいてほとんどの細胞が接着しなかったことから、RGD-ポリロタキサンヒドロゲル上の細胞は分子運動するシクロデキストリンのRGDモチーフを介して接着しており、ポリロタキサンの分子運動性が直接的に細胞へ伝達されることが期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリロタキサンにRGDモチーフを修飾することによって、分子運動性調節による細胞機能操作が高く期待されるポリロタキサンハイドロゲルの作製が可能となったため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
分子可動性の異なるRGD-ポリロタキサン架橋剤を用いて生体外(in vitro)における細胞機能操作を試みる。具体的にはシクロデキストリン貫通数およびRGD修飾数の異なるポリロタキサンハイドロゲルを用いて分子運動性の及ぼす細胞の接着、増殖、形態への影響について解析する。また細胞の機能および分化についても遺伝子発現、タンパク質産生などの観点から評価を行う。その上で歯周組織再生に適したポリロタキサンハイドロゲル組成について検討し、実際に生体内(in vitro)系での評価に取り組む予定である。
|
Research Products
(23 results)