2019 Fiscal Year Annual Research Report
分子運動性超分子の異方性スキャホールドによる歯根の安定保持可能な歯周組織の再生
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16H01852
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
由井 伸彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70182665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 聰 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 非常勤講師 (00280628)
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251544)
田村 篤志 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (80631150)
有坂 慶紀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (70590115)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポリロタキサン / 分子運動性 / 歯根膜細胞 / スキャホールド |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリロタキサンは多数の環状分子を線状高分子が貫通した超分子構造体であり、その構造特性として環状分子が線状高分子鎖に沿って運動する分子運動性が期待される。本研究課題ではこの分子運動性を賦与した3次元ポリロタキサン細胞接着足場を構築し、硬組織と軟組織とから構成される歯周組織の再生を目的としている。2019年度は、ポリロタキサン骨格そのものが接着細胞の機能に与える影響について評価した。骨芽前駆細胞・線維芽細胞・脂肪前駆細胞をポリロタキサン表面上で培養したところ、市販のポリスチレン製培養表面と比較して細胞増殖や骨芽分化を有意に促進した。その原因を解明するためにDNAマイクロアレイ解析を行った結果、ポリロタキサン表面は細胞の接着斑形成やインテグリン介在接着に関連したシグナル経路を活性化することが明かとなり、ポリロタキサンの構造骨格は歯周組織を構成する歯槽骨や歯根膜の再生に有利であることが示唆された。つぎに分子運動性の異なるポリロタキサンを被膜した生分解性高分子膜を作製し、マウスの頭蓋骨欠損部への移植を行った。ポリロタキサン表面において低い分子運動性は骨芽前駆細胞や間葉系幹細胞の骨芽分化や石灰化を促すことをすでに報告しているが、生体内においても分子運動性の制御が骨再生速度に影響を与えることがわかった。併行してヒトの初代骨芽細胞においてもポリロタキサンの分子運動性がその石灰化に影響を与えることを明らかにしており、ポリロタキサンは歯周組織再生における重要な機能性足場として期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、ポリロタキサンが細胞機能に与える効果やin vivoでの骨再生速度に与える影響を評価した。おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、歯周組織の一部を外科的に切除したモデルマウスの作製をすすめると同時に、患者歯周組織由来幹細胞の採取および培養を行っている。今年度はそれらの動物および細胞を用いて、ポリロタキサン足場が歯周組織再生に与える効果について明らかにする。
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Research Products
(15 results)