2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H01888
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平瀬 肇 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (90392084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 歩 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40509048)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニューロングリア相互作用 / ニューロピル / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、マウス大脳皮質のニューロピル(神経網=微小突起の集合体)からのCa2+イメージングを行った。NMF解析法では、アストロサイトと神経細胞の局所ニューロピルシグナルを上手く分離できないことを実感しつつある。そこで、今年度の後半にニューロンには赤色蛍光Ca2+センサーを発現できるAAVベクターを利用した。本課題の目標の一つである「tDCS によるニューロピルの信号変化とその物理メカニズムの検証」をするために、遺伝子改変動物を用いて、光遺伝学的にアストロサイト由来ニューロピルのみに内因性Ca2+上昇を惹起する実験を行った。その結果、麻酔下と無麻酔の状態では異なる神経細胞の活動形式が観測された。今後は実験数を増やし、無麻酔の状態で起こる神経活動の変化のメカニズムを追究する予定である。また、もう一つの目標である「経験依存的なニューロピル反変化とグリア活性による動物の行動様式の変化」に取り組むために、顕微鏡下における恐怖条件付け学習装置の導入を行った。具体的には頭部を固定した状態で、筋電位信号を指標として聴覚刺激によるフットショックの条件付けを行った。試行錯誤が多かったが、漸く二光子イメージングが出来る段階に近づきつつある。さらに、アストロサイトの内因性Ca2+上昇が抑制される2型IP3受容体欠損マウスを用いて海馬脳波を測ったところ、経験依存的にリップル波の振幅と発生頻度が下がることを見出した。アストロサイトのCa2+上昇の後に起こる変化の物質的な面に迫るため、マイクロ電磁波を利用したマウス脳の固定も準備しつつある。昨年度に報告した薬理的に興奮させた状態でのニューロピルのシグナルであるが、思いがけない現象を見出しつつある。これについても2018年度中に論文発表を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アストロサイトとニューロンが同色のCa2+センサーを発現している場合、NMFによるシグナルの分離は難しいことが分かりつつあり、別色のセンサーを用いる手法に転換しつつある。IP3R2動物で経験依存的な脳波フェノタイプを見出せたのは、アストロサイトのCa2+シグナリングが脳の可塑的変化に関連することを支持する結果だと捉えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書の後半の段階に着手するため、顕微鏡装置内での恐怖条件付け学習の導入に注力する。また、ニューロピルのデータ解析が遅れ気味であるので、最新文献や公表されている解析ソフトなどを参考にして解析をすすめたい。tDCSなどによるアストロサイトCa2+上昇で起こる神経グリア作用の物質的な面にせまる。Ca2+以外の細胞内シグナルの可視化にも着手する。
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Research Products
(8 results)