2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H01998
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
増田 知子 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (10183104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 治夫 関西学院大学, 国際学部, 教授 (80288604)
岡崎 哲二 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (90183029)
松本 朋子 名古屋大学, 法学研究科, 特任講師 (50783601)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 寡頭制 / 権威主義体制 / 近代日本 / 歴史情報データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 『人事興信録』データベースの構築にあたって、以下の処理をおこなった。①採録者名について、機械学習を用いて、姓と名の分離をおこなった。②採録者名と採録者の親の名前を照合して、実親子関係がある採録者を機械的に特定した。③職業について会社名と役職を分割できるようにした。④記述部分について、家柄・本文・家族の情報に分割した。⑤昭和18年版『人事興信録』の上巻のテキストデータを作成した。 (2) そもそも『人事興信録』とは何かという課題を設定し、『人事興信録』の分析をおこなった。『人事興信録』を発行している人事興信所の経営方針は、商業興信ではなく、戸籍調査や探偵業務を通じて本人および家族情報を収集し、その情報を必要としている顧客に販売するというものであり、『人事興信録』は、そのためのカタログ的機能を発揮したと考えられる。このことは、『人事興信録』の記載内容とも深く関係している。 また、『人事興信録』の実際の記載内容に基づく分析もおこなった。記載されている各項目を集計することで、『人事興信録』の採録者の分布状況・構成比などを明らかにした。さらに、『日本帝国人口静態統計』と『日本紳士録』を用いて、構成比や採録者の分布などの比較を通じて、『人事興信録』の特徴や性質を明らかにした。 (3)体制転換期における政治エリートの流動性について、岡崎と松本が共同研究を行なった。同研究は一定の成果を達成しており、業績に記載した通り2017年6月のEPSA(ミラノ)、9月のAPSA(サンフランシスコ)、日本政治学会研究大会で学会報告の機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『人事興信録』データベースの構築は順調に進んでおり、近日中の公開を予定している。また、昭和18年版『人事興信録』の上巻のテキストデータを作成し、その後のデータ蓄積も順調に進んでいる。 『人事興信録』データベースを使い、政官財軍のネットワークについて、最富裕層の旧大名・華族の大地主層、三井・岩崎・住友等の大実業家の、婚姻を通じたネットワークを可視化することができた。また、同時代のルポルタージュ等で紹介されていた情報を検証することができた。この手法を昭和3年版、昭和9年版にも適用することで、今後、研究課題の解明を行っていく見通しがたった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) これまでに整備したデータベースを使い、『人事興信録』の分析をおこなう。昭和3年版の分析を本格的に開始する。さらに、大正4年版と昭和3年版の時系列変化についても分析を開始する。 (2) 『議会制度70年史』と『東京商工会議所・会員名簿』のデータを整備し、『人事興信録』との関係を分析する。 (3) 分析を終えた大正4年版について、『人事興信録』データベースを公開する。 (4) 昭和18年版『人事興信録』の下巻のテキストデータを作成し、昭和18年版のデータベースを整備する。
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Research Products
(12 results)