2019 Fiscal Year Annual Research Report
Network Governance for Access to Justice in East Asia
Project/Area Number |
16H02003
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 安信 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90313981)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎗目 雅 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 客員准教授 (30343106)
吾郷 眞一 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 教授 (50114202)
古田 元夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (50114632)
阿古 智子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80388842)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ネットワーク / ガバナンス / 正義へのアクセス / 人間の安全保障 / 難民 / ビジネス / カンボジア / ミャンマー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究組織の研究会を公開、非公開で行い、難民保護の課題、CSRの日本でのビジネス界での現状、国連SDGsを巡るビジネス界での今後の展望などの報告と議論をした。公開のシンポジウム、セミナーなどを数回開催した。ネットワークガバナンスを可能とするブロックチェーン技術の可能性についての公開セミナーとシンポジウムを開催した。香港での民主化運動にかかる緊急セミナーを開催した。SDG16+研究会を立ち上げ、ビジネスと人権に関する弁護士ネットワークを結成した。 7月には、アジア国際法学会で難民に関する国連グローバルコンパクトについて議論し、11月には、人間の安全保障学会と国際開発学会を東京大学大学院総合文化研究科でのシンポジウムにおいて「ビジネスと難民」をテーマにした研究大会を共催し、それぞれ、研究会の成果として、難民、移民にかかるネットワークガバナンスについて議論した。 8月の中国で国際商事裁判所を視察し、カンボジア、ミャンマーでの中国の一帯一路による開発による住民との紛争について現地調査をした。これを基に、9月のケンブリッジ大学での経済犯罪シンポジウムと、一帯一路イニシアティブにかかる会議で、関連する国際仲裁事件の事例研究と、法的リスクと正義へのアクセスについて報告後、ネパールでチベット難民、ブータン難民、ロヒンギャ難民への聞き取り調査をし。カトマンズで開催されたアジアプロボノ会議に参加して、難民の国際保護に関するアジアネットワーク(ANRIP)について報告し、アジアにおけるネットワークの促進について議論した。 11月の学会とシンポジウムでの成果を録画と、CDRQという英文のオンラインジャーナルに掲載すべく編集中である。 3月にはオークランドで難民保護に関する現地調査をし、オークランド大学や難民認定のための裁判所の関係者と協議し、今後の研究連携について打ち合わせた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、分担者、連携者、協力者各自が、予想以上に調査研究を質量ともに高める努力をしている。研究組織間での連携を通じて、各自の海外研究パートナーや実務者との交流を活発化させている。とりわけ、昨年度も、難民などの急増に国連などが十分対応できないため、難民にかかるグローバルコンパクトが採択されて1年で、市民社会などでも多くのイベントが開催された。またカンボジア、ベトナム、ミャンマーなどでも法の支配を目指した法整備支援がうまく行かず、民主化や平和プロセスが妨げられている実情が、外務省やJICAなどの実務機関にも理解され、その背後に、中国、米国などの大国の政治的な変化もあり、時代の要請として本研究の重要性が関係者間で共有されつつある。 日本のODAと民主主義を考える会による、外務、法務、文科省への要請書を基に、各政府関係者、NGO,企業、研究者らマルチステークホルダーによる有志で立ち上げたSDG16+研究会が、月1回のペースで研究会を開き、提言としてまとめた。このように、ネットワークガバナンンス研究会の輪が各方面で急速に拡大しつつある。 11月に、人間の安全保障学会と国際開発学会が共催した東京大学駒場キャンパスでの大会で、難民/移民と教育を共通テーマとして議論した。オックスフォード大学の難民研究センターで元UNHCR幹部が招聘され、日本の出入国管理庁の長官も参加をして、学会と実務においてさらに世界的なネットワークが構築されつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度ということもあり、これまでの研究成果をまとめることに注力する。最終報告書を基に、邦文での3冊の出版と、その後、英文書籍1冊を出版することを目指す。そのために、研究分担者で、執筆分担を含めて、成果物の構成をし、連携研究者、研究協力者などにも参加を依頼して、執筆編集作業を行う。 同時に、この成果物を次の研究に発展させるための、最終報告会を行う。新型コロナウイルスの蔓延による状況の収束を待って、可能なら秋以降に国際シンポジウムを開催をする。テーマとしては、ネットワークガバナンスが求められるポストコロナのガバナンスのあり方を、とりわけ、人間の安全保障に資するESG投資などのステークスホールダー資本主義に見合うグローバルなガバナンスモデルとして提供し、その推進、促進のための戦略を含めて、実務者と研究者のコラボをするプラットホームを構築する。 そのために、SDG16+研究会が、官民産学のネットワークによる政策集団として、このようなプラットホームに成長するように、上記提言を上記の出版物の1つとして出版し、日本政府や国連などへの働きかけを強める。とりわけ、一帯一路政策を推進する中国との関わりをどうするかについては、日本政府の掲げる自由で開かれたインド太平洋構想の各論や戦略策定に本研究会の成果が貢献できるように、中国研究者らともさらに協働しながら、積極的に発言や報告をしていく。
|
Research Products
(36 results)