2016 Fiscal Year Annual Research Report
対中依存構造化と中台のナショナリズム―ポスト馬英九期台湾の国際政治経済学―
Project/Area Number |
16H02005
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 康博 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50511482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 充豊 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (00335415)
黄 偉修 東京大学, 東洋文化研究所, 助教 (00733130)
福田 円 法政大学, 法学部, 教授 (10549497)
小笠原 欣幸 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (20233398)
田中 明彦 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (30163497)
若林 正丈 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60114716)
高原 明生 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (80240993)
佐藤 幸人 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 研究センター長 (90450460)
家永 真幸 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (90632381)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 中台関係 / 台湾 / 中国 / 安全保障 / 相互依存 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
中国との関係が良好だった馬英九政権が2016年に終わり、台湾独立派の民主進歩党・蔡英文政権に交代したことで、これまで続いた中台間の「和解なき安定」という局面が終了した。本研究の2016年度の成果は、このタイミングで中台それぞれの内外状況と中台関係の動向を観察し、馬英九政権期と併せて今後の展望にもつながる研究成果を発表したことである。 本研究プロジェクトの「研究の目的」は、「台湾の対中依存が構造化する一方で、双方のナショナリズムが直接ぶつかる可能性を孕む中台関係の新たな展開と構造を明らかにし、その日本や地域への影響を探ること」にある。悲観的な予想に反して、蔡英文政権が「現状維持」路線を開始・維持したことで、中台関係は比較的安定しており、当面中台間のナショナリズムの衝突を回避することに成功している。中国は台湾に対して、買い付けの中止や観光客の減少などによる一種の「経済制裁」を行ったが、効果を上げていない。直接の交渉チャネルが閉ざされた中で、衝突も起きない「新常態」ともいえる新たな局面に入ったことが認められた。 研究成果は、下記のように、多くの媒体を通じて国内外に多言語で発信している。主に、2016年5月21日に日本台湾学会にて、「馬英九政権の8年:ナショナリズムと日台関係の視点から」を挙行し、2つの論文付き報告を行った。8月2日には、上海国際問題研究院と共催で、「第7回中日関係における台湾問題」学術シンポジウムを開催し、8つの論文付き報告を行った。 また、次年度以降の研究に向けて、9月には台湾訪問を行い、蔡英文総統以下、政策決定に関わる要人や研究者へのインタビューを行った。上記の「新常態」がどのように推移し、最終的にはどのような方向に発展するのかを、引き続き調査対象としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究組織の立ち上げ、調査旅行の実施、研究会・座談会の実施など、おおむね順調であり、充実した研究活動を行うことができた。ただし、予定していた米国の研究機関との国際会議の共催が、先方の都合により年度内開催が困難になったため、一部予算を次年度に繰り越した。とはいえ、初年度としては順調なスタートを切ったといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
①研究会・ミーティング・ワークショップ:上海国際問題研究院との国際会議を東京で開催する。政策決定関係者や研究者の訪日時を利用し、適宜座談会を行う。 ②資料収集・聞き取り調査:台湾・中国・米国での聞き取り調査を行う。 ③国際会議:延期された米国の研究機関と国際会議を共催し、成果の対外発表を行う。
|
Research Products
(67 results)