2018 Fiscal Year Annual Research Report
対中依存構造化と中台のナショナリズム―ポスト馬英九期台湾の国際政治経済学―
Project/Area Number |
16H02005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 康博 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50511482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 充豊 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (00335415)
黄 偉修 東京大学, 東洋文化研究所, 助教 (00733130)
福田 円 法政大学, 法学部, 教授 (10549497)
小笠原 欣幸 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (20233398)
江藤 名保子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東アジア研究グループ, 研究員 (30648332)
若林 正丈 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60114716)
高原 明生 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (80240993)
佐藤 幸人 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 研究センター長 (90450460)
家永 真幸 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (90632381)
益尾 知佐子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (90465386)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中台関係 / 台湾 / 中国 / 東アジア / 相互依存 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの対象であるポスト馬英九政権期(=蔡英文政権期)の台湾内政、中台関係、中国の対台湾政策、米中関係、日中関係、中国在住の台湾人のアイデンティティなどに関する論文が、上海国際問題研究院との合同セミナーおよびその他の機会に発表されている(研究成果リスト参照)。特に、年金改革など、内政面で不人気な改革を進めて支持率を大きく落とした蔡英文政権は、2018年11月の統一地方選挙で歴史的な大敗北を喫した。これは2014年、16年に当時の馬英九政権が大敗北を喫した時と類似したパターンであり、台湾の政権は、支持を獲得して政権を握ってから支持を失うまでの周期が短くなっている可能性がある。従来の台湾政治研究・中台関係研究で、アイデンティティに比べて、比較的重視されてこなかった政権の執政能力に関する研究を進める必要性が高まり、統一地方選挙結果の検討をする研究会を2019年1月に行った。ただし、たとえ執政能力をテーマとして政権交代がなされるとしても、二大政党の掲げる国家のあり方は大きく異なり、その選挙結果は、中台関係に重大な影響を与える。台湾ナショナリズムが若年層を中心に増大傾向となった一方で、習近平指導部は、2019年1月2日の重要講話で「武力行使」に言及したことでもわかるように、官製ナショナリズムを強めている。台湾では、2018年の統一地方選挙で民進党政権が大敗したことに より、2020年の総統選挙に向けて、対中ナショナリズムを動員する傾向が強まっている。双方のナショナ リズムが直接ぶつかる可能性を孕む中台関係の新たな展開と構造を研究する上で、本プロジェクトは、新たな研究課題を見つけつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上海国際問題研究院と共催の国際会議、台湾での聞き取り調査、台湾からの招へい者(邱坤玄・国立政治大学教授)の研究会などを含めて、公開の研究会を6回、非公開の座談会を5回実施している。以上の活動はほぼ予定通りである。中間的な研究成果も出始めており、最終年度における最終報告に向け、中台関係に関する知見の蓄積はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2019年度(~2020年3月31日)は、2020年1月に予定されている総統選挙に向けて、台湾内部の中国大陸との関係の議論や民意の変化をの掌握につとめる。同時に、中国の対台湾政策が、武力の展示を伴うハードなものになりつつある状況や、米中関係の悪化、日中関係の改善が、中国の対台湾ナショナリズムをどのように強めているのかについて焦点を当てる。研究実施計画 としては、(1)全般的計画 2019年度は、昨年度の研究を基礎として、①ゲストを招いて研究会を開催する(不定期)。②6月のアジア政経学会東日本大会で、中国と台湾 の互いに対するナショナリズムに関する分科会を行う(企画の審査はすでに通過しており、実施の見込みである)。③上海国際問題研究院と共 催する国際会議を7月に東京大学で開催する。④9月に訪問団を組織して台湾で調査を行う。⑤中国から研究者を招聘して研究会を行う(楊明杰 ・中国社会科学院台湾研究所所長と交渉中)。 (2)具体的方法 ①ミーティング・研究会・ワークショップにて、聞き取り調査の計画作成や、それぞれの研究進捗状況について状況報告を行う。 ②2020年1月には台湾で総統選挙が行われるため、その動向およびその中台関係への影響を調査する。
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Research Products
(45 results)