Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正弘 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (60622214)
関根 仁博 京都大学, 経済研究所, 特定准教授 (10811888)
鎗目 雅 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 客員准教授 (30343106)
太田 塁 横浜市立大学, 国際総合科学部(八景キャンパス), 准教授 (00338229)
本領 崇一 同志社大学, 経済学部, 准教授 (40835667)
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Outline of Annual Research Achievements |
1.企業が製品安全にかかわる事故や事件を起こした後,当該企業の製品が再普及する過程で,消費者の社会的学習が果たす役割を検証する実証モデルを作成するとともに,日本で2013年末に発覚したアクリフーズの冷凍食品農薬混入事件を取り上げ,モデルの推計を行った.その結果,購入再開時期が早い消費者ほど,小売の場で対象企業の製品に接する頻度が高く,健康被害が起こる確率の低さを早期に学習する一方,価格を重視する度合いは小さいことを明らかにするなどの成果を得た.これらの成果については,2019年度に経済産業研究所の研究会にて数回にわたり詳細な報告を行ったほか,2020年度には同研究所ディスカッション・ペーパー等の媒体で公表予定である. 2.マクロ経済政策の不確実性が消費行動に及ぼす影響について分析するため,経済産業研究所の協力の下,日本の政策不確実性指数を日次・週次等の高頻度で算出するとともに,当該指数と消費支出の変動の関係についてVAR分析を行うための基礎を作り,いくつかの予備的な分析結果を得た. 3.大標本ビッグデータの解析を補完するために,社会関係資本とバイオマーカーやゲノムなどを含む高次元ビッグデータの構築を行い,分析を開始した.人間の社会性の源泉を明らかにするために,特定のゲノム(スニプス)に絞り,ゲノムの変異と社会関係資本の形成の関係を分析した.さらに,一連の研究の基礎となる市場の質という観点からのデータ解析手法の基礎を提唱した. 4.ブレキシットやアメリカ大統領選では,情報操作によるビッグデータの悪用や情報の操作に関する問題が深刻化している.基礎的研究成果をまとめ,国際研究集会などで報告するとともに,情報操作の影響をゲーム理論の視点から分析した. 5.上記の研究の基礎として,イノベーションの過程や人々の意識と経済活動などの理論的分析を継続し,市場の質の決定要因を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・購買ビッグデータの研究上の活用法として,新たに階層ベイズモデルに基づくシミュレーションの手法を導入し,当初の計画では予定していなかった社会的学習の視点に基づく新たな知見を得ることに成功した. ・当初の計画にはなかったが, 日本の政策不確実性指標を推計している経済産業研究所の協力を得て,マクロ経済政策の不確実性が消費者行動に与える影響についての分析に着手し, 予備的な分析結果を得た. ・ゲノム情報と社会関係資本の関係を解明するために必要なデータ構築を開始するとともに,新しいアプローチに基づく分析を行い,論文執筆を開始した. ・ビッグデータの悪用という政策的喫緊の課題の重要性を認識し,その研究の足掛かりを作るとともに,当初計画を拡張し,情報操作に関する新しいゲーム理論を構築した.
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