2016 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブファイバレーザーを用いた超広帯域デュアルコム光源の開発
Project/Area Number |
16H02119
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西澤 典彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30273288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 陽一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 総括研究主幹 (40357091)
山中 真仁 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (90648221)
周 英 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究員 (80738071)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高性能レーザー / 応用光学・量子光工学 / 超短パルス / ファイバレーザー / 光周波数コム |
Outline of Annual Research Achievements |
1.超短パルスファイバレーザー用単層CNTフィルムの高度化 - 単層CNTをポリイミド樹脂に均一に分散させたCNT薄膜の作製技術を検討した.ポリイミド樹脂を溶かした有機溶剤に,光吸収帯が1.5 umに相当する直径のHIPCO法の単層CNTをいれ,超音波処理の最適化により,CNTの凝集体が細かく解繊されて,高品質な分散液が得られた.また,光吸収帯が2 umに相当する直径のeDIPS法の単層CNTと高分子の分散も検討し,最適な分散工程及び製膜工程を見出した.また,CNTポリイミド薄膜を光ファイバー光路に挿入するための実装ステージ系を構築した. 2.単層CNTフィルムを用いた全偏波型ファイバレーザー光周波数コムの開発 ー 単層CNTを分散したポリイミドフィルムを用いて全偏波型の超短パルスファイバレーザーを開発した.更に開発したファイバレーザーを用いて全偏波保持ファイバデバイスのみで構成される,光周波数コムシステムを開発した.そして,光位相変調器,および励起LDのフィードバック制御や共振器等の最適化を図り,光周波数コムの長期安定化を実現した.安定な位相同期動作が長時間に亘って得られ,安定化したスペクトルの線幅は観測限界の1 Hz以下にまで狭線幅化された. 3.オクターブスパン・コヒーレントスーパーコンティニューム(SC)光源の開発 - 開発した光周波数コムの出力パルスをシミラリトン増幅器を用いて増幅し,時間幅約40 fsで台座成分の少ない高強度な超短パルスを生成した.その後,高非線形ファイバに導入して,平坦性やコヒーレンスに優れ,且つ1オクターブ以上広がるSC光を生成した.生成したSC光はフィルタで切り出し,cw-LDとのビート信号計測によりコヒーレンスを評価した.その結果,波長1.0, 1.55, 1.68, 2.1 umの各波長帯において,高いSN比でコムのビート信号が観測され,生成したSC光が優れたコム構造を保持していることを確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファイバレーザーコム光源の安定化技術を改善し,周波数変動が20 mHz以下までに安定化されたコム光源を実現することができた.また1オクターブ以上広がるコヒーレントなSC光を始めて生成することに成功し,更にその優れたコム構造を実験的に実証することに成功した.このように,本研究はこれまでのところ,おおむね順調に進展をしている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は順調に進んでいる.今後,計画通り,コムシステムのデュアルコム化や,波長可変化などを進め,コムシステムの高度化を進める.更に開発したコムシステムの応用も実証し,光源の特性を評価する.
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