2017 Fiscal Year Annual Research Report
Gravitational waves and electromagnetic signals from the merger of neutron star binaries
Project/Area Number |
16H02183
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 大 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80252576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田越 秀行 東京大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30311765)
木内 建太 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定准教授 (40514196)
関口 雄一郎 東邦大学, 理学部, 講師 (50531779)
田中 雅臣 国立天文台, 理論研究部, 助教 (70586429)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重力波 / 中性子星 / 連星中性子星 / ブラックホール / 状態方程式 / GW170817 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の4つの研究課題を研究代表者、分担者、連携協力者が協働で遂行した。1:合体直前の連星中性子星の高精度シミュレーションを多数実行し、精度がかつてなく高い重力波の波形を導出し、重力波テンプレートの作成のベースとした。中性子星の状態方程式、2つの天体の質量、シミュレーションの解像度を変化させて合計で100ほどシミュレーションを行い、収束性の極限を取ることにより15程度の高精度重力波波形を導出した。この結果は、論文にまとめて発表した。2:研究1で求めた高精度重力波波形とeffective one body(EOB)法と呼ばれる凖解析的な手法で求めた波形を組み合わせて、ハイブリッド重力波波形をまず導出した。EOB法は, 合体15周以前の波形を導出するのに採用した。その後、ハイブリッド波形をフーリエ変換し、フーリエスペースで重力波テンプレートを構築し、論文に発表した。運よくadvanced LIGOが連星中性子星からの重力波を検出したので、公開された重力波データに対し、独自のテンプレートを用いてパラメータ推定を実行中である。結果はH30年度に発表予定である。3:連星中性子星の合体に対し、数値相対論によるニュートリノ輻射流体シミュレーションをまず行った。その合体後の結果を抽出し、軸対称の粘性入り輻射流体計算を長時間行い、合体後に誕生する大質量中性子星がどのように進化するのか、どの程度質量放出を行うのかについて調べた。その結果、中心に大質量中性子星が残れば、大量の質量放出が起きることを示した。これについては論文に発表した。4:研究3で得られた質量放出に関する結果を用いて、元素合成計算や電磁波放射について調べた。その結果、最近重力波望遠鏡で観測されたGW170817の電磁波対応天体は、数値相対論で解明された質量放出過程、およびその後の重元素合成を起源とする電磁波放射で非常に整合的に説明できることが解った。これについては現在論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
連星中性子星の合体による重力波GW170817が発見されたため、これまでの理論研究が大いに活用され、理論研究の正しさが立証された。観測結果は数値相対論研究と概ね整合的であり、我々の研究が優れていたことが証明された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、連星中性子星の合体現象が続々と発見されることは疑いないので、観測に備えて、理論解釈のための研究をこれまで同様推進する。
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