2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H02196
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森本 幸司 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, チームリーダー (00332247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加治 大哉 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 仁科センター研究員 (00391912)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原子核実験 / 放射線検出器 / 超重元素 / X線 / γ線 / 新元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
理化学研究所仁科加速器科学研究センターを中心とする研究グループにおいて、新たに開発した気体充填型反跳分離装置(GARIS-IIやGARIS-III)を用いて原子番号119番以上の新元素の探索を行う事を計画している。本研究は、この新元素探索実験へ向けたGARIS-IIの高度利用技術の開発が目的である。具体的には、新元素認定基準の一つである特性X線を観測する事による超重元素の原子番号同定を目指すものである。これまでのGARIS-II検出器システムでは、原子核のα崩壊に伴うα線の測定及び自発核分裂の測定が可能であった。本年度は、このシステムに前年度までに開発しテストベンチにて性能が実証されたGe検出器部を導入し、51Vビームと139La標的を利用しHgやAuを生成しX線を観測する事に成功し性能を実証した。現在、119番新元素探索実験が断続的に行われており、既存検出器によるα崩壊連鎖の観測と新たに追加した本装置によって観測される可能性のあるX線によって、原子番号直接同定する事を目指している。さらには、標的位置でのIn-beam X線観測を可能とするシステムの完成を目指す。最終的には、新元素探索のみならず超重核の核構造研究、超重核の精密核分光さらには超重元素化学研究への応用も展開していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理化学研究所仁科加速器研究センターでは新元素の探索実験が最優先課題としてビームタイムが配分されているため、ビームを利用したテスト実験を行う機会を得ることが難しかったが、本年度は開発したGe検出器と計測回路を119番新元素探索実験用のセットアップに組み込みビームを利用した実証実験を行う事が出来た。そこで性能が実証されたため、新元素探索にそのまま使用し現在も稼働している。CdTe検出器を利用した標的位置でのX線観測システムについては、さらなる予備実験を行ったのち本実験に組み込む予定であるが、先に述べたビームタイム配分に関する事情があるため、ビームを利用した予備実験を行う事が出来る時期について見通しを立てる事が難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題において開発したGe検出器と計測回路は、119番新元素探索実験用のセットアップに組み込みビームを利用した実証実験を行ったのち新元素探索に実戦投入された。この新元素探索実験は今後断続的継続される予定であり、本研究課題で開発された装置によりX線を観測し原子番号を同定する事を目指す。また、CdTe検出器を利用した標的位置でのX線観測システムについては、さらなる予備実験を行ったのち本実験に組み込みたい。
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