2018 Fiscal Year Annual Research Report
High-fidelity generation of non-classical photons with highly-symmetric nanostructures
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16H02203
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
迫田 和彰 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 特命研究員 (90250513)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 量子ドット / 等電子トラップ / フォトニック結晶 / 単一光子 / もつれ合い光子対 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが開発した液滴エピタキシー法による格子整合系量子ドットの自己成長は,基板と量子ドットの格子定数が等しいので,内部応力によるピエゾ電場が生じないという極めてすぐれた特徴をもつ。また,構造歪みを伴わないことから,高い空間対称性をもつ量子ドットの作製が可能である。窒素ペア等電子トラップに捕捉された励起子では,試料構造の均一性を反映して50μeV以下の極めて小さな不均一幅が実現できる。本研究では,液滴エピタキシー法による高対称GaAs量子ドットとδドープで作製する窒素ペア等電子トラップについて,高効率・高忠実な単一光子発生と量子もつれ合い光子対発生の実現を第1の目的とする。また,新しい材料系の開発による非古典光発生の波長領域の拡大を第2の目的とする。 2018年度は,①配置間相互作用の方法による閉じ込め励起子の電子状態の理論解析,②高対称基板面を利用した高対称量子ドットの作製,③精密な光子相関測定による特性解析,④電流励起単一光子・もつれ合い光子対発生などを目標として研究を進め,以下の成果を得た。 ①配置間相互作用の方法による閉じ込め励起子の電子状態の解析結果について,“Excitonic Aharonov-Bohm effect in ring-shaped semiconductor nanostructures”と題して,CLEO Pacific Rim 2018国際会議(香港)で招待講演。②液滴エピタキシー法を用いて,GaAs(111)A基板に高対称GaAs量子ドットを作製し,さらにp-n接合を形成して,電流励起型もつれ合い光子対発生素子を作製。③さらに,電流励起に対応できる測定装置を新たに作製して光子相関測定を実施。④この結果,10K~65Kまでの温度範囲でもつれ合い光子対発生を実証。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
所期の目標である,高対称量子ドットによる電流励起型量子もつれ光子対発生が実証できたこと,および,従来の液体ヘリウム温度程度の極低温に比べて,比較的高温で液体窒素温度に近い65Kまでの温度範囲で光子対発生に成功したことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,①パーセル効果を利用した発光促進による,電子系の位相緩和と無輻射遷移の相対的な低減,②高対称基板面を利用した高対称量子ドットの作製,③精密な光子相関測定による特性解析を進めるとともに,④新材料の開発による非古典光発生の波長範囲の拡大を目指す。
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