2017 Fiscal Year Annual Research Report
Universal lwas in laminar turbulence transition as a nonequilibrium phase transition
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16H02212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐野 雅己 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40150263)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 層流乱流転移 / 流れの安定性 / Directed Percolation / 非平衡統計力学 / 非平衡ゆらぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
流体における層流・乱流転移は、世紀を超えて科学者が挑戦し続けている難問の一つである。20世紀終わりのカオスの発見は、閉鎖流の時間的乱れの発生機構を明らかにしたが、パイプ流などのシア流における時空間的乱れの発生は、19世紀のレイノルズ以来、未解決である。これに対して我々は、統計力学的な視点を導入し、粗視化により局在した乱流構造を1つの乱れた要素と見なし、その乱れが時空間全体に広がる(乱流への遷移)かそれとも消滅(層流状態への回帰)してしまうのか、大域的で統計的な振る舞いに着目することで、層流・乱流転移が吸収状態相転移の一種である有向パーコレーション(Directed Percolation)と見なせることを提案した。 実際に、これまでに、シア流における層流・乱流転移は有向性パーコレ ーション(DP)であるとの仮説に基づき、世界最大のチャネル乱流実験装置を製作し、DP転移における3つの独立な臨界指数の測定に成功した。また、液晶の乱流系においても、移流がある場合のDP転移の実験を行い、一定の成果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移流のある実験系でどのようにして信頼できるDPの臨界指数を測ることができるかと言う点に関して、流路の入口にグリッドを導入し、敢えて乱流を注入することで、Active Wall(活性壁)と呼ばれる境界条件を課すことで定常状態を実現し、(2+1)次元DPの臨界指数が測定可能であることを現象論とシミュレーションによって明らかにしており、今後はこれらの成果をまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
移流のある液晶乱流系については、高精度で安定した制御が可能なシステムを作成することに成功し、残り1年で包括な実験を行う計画である。
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