2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study of island-forming eruption at Nishinoshima based on remote multi-fields observation
Project/Area Number |
16H02221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武尾 実 東京大学, 地震研究所, 教授 (00197279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 裕子 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (00359184)
前野 深 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20444078)
大湊 隆雄 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70322039)
高木 朗充 気象庁気象研究所, 火山研究部, 室長 (70354537)
篠原 宏志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 首席研究員 (80357194)
篠原 雅尚 東京大学, 地震研究所, 教授 (90242172)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 火山 / 固体地球物理学 / 地質学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年4月18日に西之島の噴火活動が再開し,同年8月上旬まで継続した.再噴火活動の推移を把握するため,同年5月に気象庁の「啓風丸」を用いて西之島周辺海域の海底地震計,海底電位磁力計,ベクトル津波計の回収と海底地震計の再設置を行った.この噴火活動は8月上旬にほぼ停止したが,西之島の規制区域は火口周辺1.5kmとなったため,10月に予定されていた再上陸調査は2018年10月に延期することとなった.そこで2017年度は,それまでに収集した観測データ及び試料の解析・分析を中心に研究を進めた.西之島周辺海域に設置した海底地震計には噴火に伴うシグナルが継続して記録されており,2015年2月以降の噴火活動を連続的に明らかにすることが出来た.2016年10月の上陸調査で西之島旧島に設置した地震・空振観測装置では,2017年4月の再噴火に先行するマグマ上昇に伴う地震および地殻変動を明瞭に捉え,この観測システムが遠隔火山島の噴火活動を把握する上で有効である事を実証した.さらに,この島内観測点のデータと海底地震計のデータを組み合わせることにより,再噴火に至るマグマ上昇のプロセスに関する知見を得ることが出来た.噴出物の分析から,西之島のマグマは安山岩であることが判明したが,噴出したマグマの温度は1050℃程度と,島弧の安山岩としてはやや高温かつ低斑晶量であること,そのマグマは深さ1.5-2kmに存在する低温の浅部マグマ溜まりとより深部の高温のマグマ溜まりの両方に由来していることを明らかにした.西之島の複雑に入り組んだ地形は,この流動性に富む溶岩流が海に囲まれた環境の中で,時間をかけて大量に流出することにより形成された.さらに,2017年12月にはウェーブグライダーを用いた離島モニタリングシステムにより西之島の噴気活動を捉えることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では当初,西之島の噴火活動が活発で上陸調査が困難な状況にあるため,無人ヘリコプター及び海底地震計観測を活用し,西之島での地球物理学的観測と物質科学的データの取得を行い,西之島形成のプロセスを解明することを目指していた.しかし,2015年11月以降の活動低下を受け,2016年10月には生態系研究者及び環境省と合同で西之島への上陸調査を実施することが出来,溶岩・噴石及び旧島の溶岩,堆積した火山灰を採取することに成功し,長期にわたる噴火活動のメカニズムを解明するための重要な手がかりを得た.また,この上陸調査の際に,西之島旧島上に地震・空振観測装置を設置して,その後の西之島噴火活動の推移を的確に把握できるようになった.2017年4月の再噴火により,同観測装置は溶岩流に覆われて停止したが,噴火に至る直前の地震活動,傾斜変動を捉えることに成功し,再噴火に至るマグマ上昇プロセスに関する知見を得ることが出来た.この噴火活動により,2017年10月に予定していた再度の上陸調査は実施不可能となったが,それまでに得られた観測データや噴出物試料や画像データ等の解析・分析を進め,2018年10月に延期した再上陸調査に向けた準備を進めた.
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は,6月および10月に気象庁の海洋気象観測船「涼風丸」および「啓風丸」による西之島周辺海域における調査航海が予定されている.6月の調査航海では,2018年10月の再上陸調査に向けて,西之島の地形調査や2017年4月~8月の噴火活動において流出した溶岩流の調査,試料採取等を計画している.さらに,周辺海域に設置した海底地震計,海底電位磁力計の回収,新たなに海底電位磁力計の設置を行いより詳細なデータの取得も計画している.これらの調査では,近年のドローン技術の進捗により,無人ヘリコプターではなくドローンを使った撮影,試料採取の調査を予定しており,調査経費を大幅に節約出来る見込みである.これらのデータに基づいて,10月の環境省による自然環境調査と合同して再度,西之島の上陸調査を進める.また,6月に回収する海底地震計に記録されたシグナルから2017年4月噴火以降のより詳細な火山活動推移を解明すると共に,回収した海底電位磁力計のデータの解析を進め,西之島直下の比抵抗構造を明らかにする.これまで調査と合わせ今年度で西之島の全方位にわたる溶岩・噴出物の採取と地質調査を完了させ,調査資料の整理と採取試料の分析を進め,地球物理学的観測から明らかにされる西之島の活動推移やマグマ溜りの位置や規模についての情報を統合して,長期にわたる西之島成長のプロセスを,地球物理学及び物質科学の両側面から明らかにする.
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[Presentation] Geophysical observations at a new volcanic island Nishinoshima, Ogasawara, Japan2017
Author(s)
Takeo, M., T. Ohminato, M. Ichihara, M. Shinohara, K. Baba, A. Watanabe, H. Sugioka, Y. Hamano, and N. Tada
Organizer
IAVCEI 2017 Scientific Assembly
Int'l Joint Research
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[Presentation] Long-term seismic monitoring around Nishinoshima, Izu-Ogasawara by using ocean bottom seismometers2017
Author(s)
Shinohara, M., M. Ichihara, S. Sakai, T. Yamada, M. Takeo, Y. Sugioka, Y. Nagaoka, A. Takagi, Y. Morishita, T. Ono, and A. Nishizawa
Organizer
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
Int'l Joint Research
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[Presentation] Geology and eruptive process of new Nishinoshima, Ogasawara, Japan, revealed from first landing and survey of eruptive products2017
Author(s)
Maeno, F., S. Nakano, M. Yoshimoto, T. Ohminato, A. Watanabe, A. Yasuda, T. Kaneko, S. Nakada, and M. Takeo
Organizer
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
Int'l Joint Research
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[Presentation] Brief overview of landing survey and seismic observation at Nishinoshima2017
Author(s)
Takeo, M., T. Ohminato, M. Ichihara, F. Maeno, T. Kaneko, M. Shinohara, K. Baba, K. Nishida, A. Yasuda, A. Watanabe, H. Sugioka, Y. Hamano, N. Tada, S. Nakano, M, Yoshimoto, K. Kawakami, T. Chida, A. Takagi, and Y. Nagaoka
Organizer
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
Int'l Joint Research
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