2017 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属中間体を経由する機能性有機フッ素化合物の短段階合成
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16H02276
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生越 専介 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30252589)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 錯体・有機金属 / 省エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題としているポリマー合成において下記のポリマーの合成法を見いだした(ポリマー討論会(2018))。これは、申請者の研究により見いだしたAryltetrafluoroethyl-Cupper(ATFE-Cu)(P6: JACS 2014, 136, 15158)の重縮合によりPolytetrafluoro-xylylene(PTFX)のpara (p-PTFX)並びにmeta(m-PTFX)ポリマーの合成に世界で初めて成功した。orthoポリマー(o-PTFX)については、同様の手法では、原料となるo-ATFE-Cu合成が出来なかった。p-PTFXに関してはオクタフルオロパラシクロファンのCVDにより合成可能である事は、知られているもののラジカル反応による合成であるために構造の均一性には懸念が持たれていた。一方、p-ATFE-Cuの重縮合反応による合成ではポリマー構造の均一性が担保されている。さらにm-PTFXに関しては、CVDを利用する同様の手法を適用できないためにこれまで合成例の全くない新規ポリマーである。p-PTFX、m-PTFXはともに極めて優れた耐熱性を示し、500℃以上でも安定であった。この値は市販の最も耐熱性に優れるポリイミドをはるかに凌駕しており”Ultra Super Engineering plastics” と評価されるものである。更に、得られたポリマーの撥水性や剪断応力を加える事で透明になる事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目標としていたTFEユニットを持つポリマーを10種類以上合成出来た。また従来のCVD法では、合成が不可能であったポリマーも合成されており十分な成果を得られていると考えられる。 予想以上に研究成果が得られたために、熱重量・示差熱 TG-DTAを測定する装置を導入し、ポリマーの耐熱性を測定した結果、従来の耐熱ポリマーの性能をはるかに凌駕する結果が得られた。さらに主鎖に酸素を導入したポリマーも合成可能となり、同様の手法により多様な、含フッ素ポリマーの合成が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、これまで合成が不可能であったポリマーの合成とその用途展開を行う。本研究でポリマーを合成する手法は、重縮合であり、廃棄物として副生する銅とフェナントロリンは、ポリマーと同等程度の重量を持っており、不経済な合成経路となっている。このような状況のもと銅を触媒とする反応の構築を目指す。
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