2017 Fiscal Year Annual Research Report
Hybrid electrochemical bioimaging with multiscale
Project/Area Number |
16H02280
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末永 智一 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (70173797)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊野 浩介 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00509739)
井上 久美 東北大学, 環境科学研究科, 特任准教授 (20597249)
熊谷 明哉 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (50568433)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | バイオセンサー / 電気化学計測 / チップデバイス / プローブ顕微鏡 / バイオMEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度で、複数の対象物を同時に計測できる「電気化学カラーイメージング法」を開発した。この手法ではComplementary metal-oxide-semiconductor(CMOS)技術を用いて作製したチップデバイスを用いている。このデバイスには多数の電気化学センサが配置されており、個別の電圧制御とデータ取得が可能である。これにより、本課題で挙げたマルチスケール化が実現している。該当年度と繰越年度では、引き続きマルチカラー化した電気化学イメージング法の開発とその応用を実施した。 さらに多くの種類の化学物質を計測できるシステムとして、差分電気化学カラーイメージング法(differential electrochemicolor imaging)を開発した(Sensors and Materials, 31(1), (2019), 13-22)。この手法では、印加電圧が異なる2種類の電気化学イメージの差分を計算することで、埋もれていた情報を可視化できる手法である。これにより、上述した目的な達成しており幅広い応用が可能になった。この報告は学術雑誌のカバーに選ばれた。 また、CMOSデバイスを用いてハイドロゲルの局所電解析出を実現し、これにより酵素電極アレイを作製した(Sensors and Actuators B: Chemical, 277, (2018), 95-101.)。この電極アレイを用いることで、酵素を介して複数の化学物質(グルコースと過酸化水素)の同時の電気化学イメージング(マルチスケール化)を達成しており、今後の細胞解析への応用が期待できる。また副次的な成果として、デザインした3次元ハイドロゲル作製を可能にしており、生体様組織培養への展開が期待できる。 これ以外にも、プローブ電極を用いた電気化学イメージングによる材料表面特性評価を報告しており(Surface and Interface Analysis, 51, (2019), 27-30)、開発したシステムのエネルギー材料開発への貢献が期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
該当年度に10報以上の学術論文を報告した。したがって、学術的な点において大きく研究が進んだと言える。また本研究課題を含む分野のreviewを報告しており、これは学術雑誌のcover featureを飾った。このことから、本研究課題の国際的な注目度は高いといえる。申請書に記載したシグナルのマルチスケール化に関するシステム・デバイス開発が順調に進んでおり、特にチップデバイスに関する開発はほぼ完了した。また、開発したシステムを用いて、モデルである酸化還元物質のイメージングに成功した。またバイオ計測の応用例として、酵素活性や細胞機能の計測にも成功した。 また研究実績に記載した通り、電極修飾を目指した副次的な研究成果として3次元的なハイドロゲル作製が実現しており、組織工学や再生医療への応用が強く期待できる。開発中に電気化学イメージングプラットフォームは、バイオ計測だけでなく細胞培養プラットフォームへの展開が可能なため、生物工学への貢献も期待できる。 開発中のシステムはバイオ計測だけでなくエネルギー材料をナノメートルスケールでの評価が可能であった。このように世界トップレベルの解像度を有する計測システムを開発しており、当初の計画以上に進展しているといえる。 学会発表が50件以上あり、研究成果の社会への発信を十分に行っている。そのうち招待講演が6件であり、本研究の注目度の高さが窺える。 以上のことから、本研究が順調に進んでいるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、電気化学イメージングのマルチスケール化という新しい概念に基づく計測システムを開発しており、次年度も引き続き計測システムの開発を行う。最終年度は胚性幹細胞(ES細胞)などの有用な細胞を用いて、それらの細胞評価が可能であるかを調査する。具体的には呼吸活性や細胞分化を可視化する。これらは通常の光学イメージでは非侵襲的に観察することは難しいが、電気化学計測に強みを生かしてこれらを計測する。また、ハイドロゲルプリンタなどを用いて作製した3次元培養組織の計測を行う。これにより再生医療や組織工学での応用・展開の可能性を調査する。 引き続き、学術雑誌での成果報告を活発に行う。これにより国際・国内の共同研究が新たに行われるのが期待できる。 現在、CMOSデバイスを作製しているが、これらの普及を目指す。具体的にはチップデバイスの供給先の確保、デバイス作製のマニュアル化を進める。 上記した通り、副次的な研究成果として3次元的なハイドロゲル作製が実現している。この研究は萌芽的であるが、さらに進めて行くことで組織工学や再生医療への応用が期待できる。したがって、この研究も同時に行うことで開発中の電気化学イメージングプラットフォームをスマート細胞培養プラットフォームとして進化させる。
|