2017 Fiscal Year Annual Research Report
『前駆体法』による芳香族機能性材料の開発・薄膜構造制御と有機デバイスへの展開
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16H02286
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| Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
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Principal Investigator |
山田 容子 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (20372724)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛原 大軌 岩手大学, 理工学部, 助教 (00583717)
林 宏暢 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (00736936)
中山 健一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助手 (20324808)
鈴木 充朗 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (20724959)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 機能材料 / 有機半導体 / 薄膜構造制御 / 有機エレクトロニクス / 光反応 / 表面反応 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
塗布型有機半導体や近赤外吸収発光材料をターゲットに、独自に展開してきた『前駆体法』により、材料開発を行ってきた。『前駆体法』とは、光、熱、酸などの刺激により、溶液・薄膜・固体・結晶状態で化合物の構造変化を引き起こし、それに伴いin-situで物理的性質の発現やナノ構造制御を行う手法である。1)有機薄膜トランジスタ・太陽電池を志向した塗布型低分子有機半導体材料や近赤外吸収発光色素の開発；２）溶液プロセスによる有機薄膜ナノ構造制御と、高性能有機薄膜電子デバイス作製法の確立；３）分子性ナノグラフェン合成・ナノリボンボトムアップ合成・ナノ構造体の構築などを志向した新しい前駆体法の開発；に重点をおき、学術・応用両面から多角的に研究を進めた。
１）初年度に引き続き新しい材料合成を展開し、π共役拡張TTFの合成とFET特性に関して、Chem.Eur.J.にアクセプトされると同時に表紙とprofileに採択された。
２）塗布積層型太陽電池におけるドナーアクセプター連結分子の添加剤としての効果について明らかにし、論文投稿中である。また溶液プロセスにおける置換基と薄膜結晶構造の相関について詳細に検討した。
３）国際共同研究により超高真空下金基板上ヘプタセン、ノナセンなどの高次アセンの合成に成功し、基板上での前駆体の特殊な反応性を明らかにした。8月には世界で最も大きい高次アセンの観測を報告したが、すぐに記録は塗り替えられ、非常に競争が激しい分野であることを再認識した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に得られた結果を展開し、結果に大きな進展が見られた。
１）π共役拡張TTFの合成とFET特性に関して、Chem.Eur.J.にアクセプトされると同時にレビューにインバイトされ、現在執筆中である。π共役拡張芳香族化合物のデザイン・合成に関しては、置換基構造とデバイス特性を詳細に検討することで、有機薄膜太陽電池のVocとJscに対する置換基効果を明らかにした。すなわち、芳香族骨格が同じでも、置換基を変えるだけで、結晶構造が大きく影響され、その結果太陽電池特性が大きく影響される。新規のn型材料前駆体の合成にも成功した。
２）簡便な溶液プロセスによる結晶性薄膜の構造制御を可能にする置換基効果を明らかにし、系によっては単結晶デバイスと同等の電荷移動度を達成することに成功した。
３）超高真空下基板上での前駆体の反応性は、通常の有機反応とは大きく異なることを見出し、それにより、前駆体を用いた合成反応による可能性を大きく広げることに成功した。
国内外での共同研究によりスペシャリストと協力しながら研究を展開するとともに、研究室内で行えるデバイス作製や薄膜構造評価・デバイス特性評価の手法を幅を広げ、迅速なフィードバックにより研究を展開している。
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| Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる今年度は、前駆体法を利用した、発光材料や有機エレクトロニクス材料の開発を継続するとともに、薄膜・結晶構造制御に重点をおき、高性能の有機エレクロトニクス実現に注力する。また、開発が遅れている非フラーレン型n型材料の開発も展開する。
一方超高真空下基板上での高次アセン合成によって、通常の有機反応とは異なる反応性を見出しており、これまで合成が不可能とされてきた様々な化合物の合成に向けて、材料の提案をおこなっていく。さらに、単結晶中での前駆体の光反応は大気下ながら、極めて興味深い反応性を示すことも明らかになりつつある。
これまでは前駆体法を「光、熱、酸などの刺激により、溶液・薄膜・固体・結晶状態で化合物の構造変化を引き起こし、それに伴いin-situで物理的性質の発現やナノ構造制御を行う手法」と捉えて研究を展開してきたが、、有機材料の集積と機能発現の効果的なツールと捉え、展開する。
最終年度にあたり、積極的に論文・学会発表で成果を公表する。
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