2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H02291
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
河原 成元 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (00242248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 祥正 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (90444190)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノマトリックス構造 / 有機材料 / 無機ナノ粒子 / 高分子マイクロ粒子 / 動的粘弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機無機ナノマトリックス構造を有する有機材料を創製することにより、新しい物性や機能を発現させるための学理を確立することを目指し、種々の有機無機ナノマトリックス構造の形成を行った。水に分散させた直径数μmの高分子マイクロ粒子に無機ナノ粒子を化学的および物理的に結合させてから凝固することにより、少量成分の無機ナノ粒子が密に充填されたマトリックスに多量成分の高分子マイクロ粒子を分散させた有機無機ナノマトリックス構造を形成した。化学結合は、高分子マイクロ粒子に無機ナノ粒子のプレカーサーを含むビニルモノマーをグラフト共重合させながら加水分解と縮合を行うことにより形成した。無機ナノ粒子および高分子マイクロ粒子の配置構造を変化させながら動的粘弾性および引張強度を測定した。 平成28年度および29年度の相互作用に関する研究成果に基づき、無機ナノ粒子および高分子マイクロ粒子の配置構造を精密に制御する試みを次の2つの方法で行った。 1) 高分子マイクロ粒子および無機ナノ粒子の混合による配置構造の精密制御 水プロセス(図4)において、高分子マイクロ粒子および無機ナノ粒子の化学的相互作用および物理的相互作用(引力的相互作用、斥力的相互作用)を首尾よく組み合わせることにより、高分子マイクロ粒子の表面に存在する無機ナノ粒子の密度を変えた。 2) 高分子マイクロ粒子と無機ナノ粒子のプレカーサーのグラフト共重合とゾルゲル反応による配置構造の精密制御 グラフト共重合する無機ナノ粒子のプレカーサーの濃度、ゾルゲル反応時のpHおよび温度を制御し、高分子マイクロ粒子の表面に存在する無機ナノ粒子の大きさおよび密度を変えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度および29年度の相互作用に関する研究成果に基づき、無機ナノ粒子および高分子マイクロ粒子の配置構造を精密に制御する試みを次の2つの方法で行い、成果が得られた。 1) 高分子マイクロ粒子および無機ナノ粒子の混合による配置構造の制御 2) 高分子マイクロ粒子と無機ナノ粒子のプレカーサーのグラフト共重合とゾルゲル反応による配置構造の制御 無機ナノ粒子と高分子マイクロ粒子の配置構造を精密制御するための指針を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
精密制御された無機ナノ粒子および高分子マイクロ粒子の配置構造と物性や機能との関係を検討する。 力学物性は動的粘弾性測定,引張試験および電導度測定を行う。動的粘弾性測定では、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、損失正接(tanδ)の温度および周波数への依存性を測定し、横シフトファクター(aT)と縦シフトファクター(bT)を求める。フィラー充填高分子では、aTはフィラーの充填量に依存しないが、bTは温度に対して正の傾き(フィラーが少量)から負の傾き(フィラーが多量)まで変化することが報告されている(Y. Isono, et.al., Nihon Rheology Gakkaishi, 41, 137 (2013).)。正の傾きはエントロピー弾性、負の傾きはエネルギー弾性に帰属されているため、有機無機ナノマトリックス構造はエントロピー弾性(高分子マイクロ粒子)とエネルギー弾性(無機ナノ粒子が多量)を両立できると考えられる。予備試験では、高分子マイクロ粒子と無機ナノ粒子が化学的に結合しているときエントロピー弾性とエネルギー弾性が同時発現することが実証されている(S. Kawahara, et.al., Polymer, 55, 5024 (2014).)。そこで、引張試験と電導度測定の結果と合せて解析することにより、エントロピー弾性とエネルギー弾性が同時に発現する原因を解明したいと考えている。
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