2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular Grid Wiring for Molecular Circuitry
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16H02299
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
彌田 智一 同志社大学, ハリス理化学研究所, 教授 (90168534)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分子グリッド配線 / 金ナノロッドアレイ / 表面開始重合 / 表面増強ラマン散乱 / 架橋配線 / 伝導経路解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分子素子の本来のモチベーションである「分子で回路を創る」の視点に立ち戻り、多種多様な有機・超分子・高分子の簡便な電気伝導特性の評価と工学的に利用できるICチップのような集積化を試みる。これは、従来の「一対のナノギャップ電極を用いた夥しい回数の電気伝導測定と統計処理」を「夥しい数の超高密度ナノギャップ電極基板を用いた電気伝導特性の一括評価」に置き換える全く新しい方法論であり、(1)高密度に規則配列した金ナノロッド電極基板の量産、(2)金ナノロッド電極を架橋配線するπ共役系高分子ワイヤの連鎖的重縮合の開発、(3)金ナノロッド電極の表面プラズモンを利用した表面開始重合と表面停止重合の表面増強ラマン散乱(SERS)計測の開発、(4)分子グリッド配線基板のマクロな抵抗値から架橋配線一本の電気特性の評価の4つの要素技術からなる。 (1) について、高さは120 nm、直径は12 nm、ロッド間距離は17 nm、表面密度1011個/cm2の金ナノロッドアレイ基板を1 cm x 2 cm 以上の大面積で、格子欠陥率16%で、8枚/日の製造環境を整えた。(2)(3)については、既報の鈴木―宮浦カップリングによるドナー性のポリフルオレンの表面開始重合と表面重合停止を確立した。さらに、ペルフルオロアリール基とトリアルキルシリル基をもつAB型モノマーが連鎖的な機構による新規重縮合を開発し、同様に表面開始重合と表面重合停止を実現した。(4)については、三端子回路のYΔ変換をベースに、幾何学的に再帰型アルゴリズムを開発した。 総じて、第一年次において、各要素技術の目標をほぼ達成できたと考える。ただし、代表者の異動による東工大研究室の閉鎖と同志社大研究室の整備と立上げを迎え、半年間以上の実験ができない状況となり、上記4つの要素技術の再立ち上げと統合させた分子グリッド配線実験に備える準備が必要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一年次において、各要素技術の目標をほぼ達成できたと考える。統合技術としての分子グリッド配線実験にも着手したが、十分な検討と調査に至る前に、異動のための中断を余儀なくされた。 同志社大学の研究室立上げにおいては、実験室インフラ整備に4ヶ月、技術員公募から採用と基礎技術トレーニングに4ヶ月を要し、例えば、要素技術(1)の金ナノロッドアレイ電極の作製の最初の試作とナノ構造評価は2017年11月にズレ込みが生じた。要素技術(2)(3)については、グローブボックス内で行う有機・高分子合成の実験環境整備が遅れ、2018年春になってようやく着手できる見通しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
各要素技術の目標をほぼ達成できているので、最終年度に統合技術である分子グリッド配線実験を繰り返し行い、プロセスの最適化と表面化意思重合、表面重合停止、分子グリッド配線ネットワークのマクロな電気特性評価に邁進する予定である。 なお、ナノギャップ電極の専門家との共同研究を通じて分子グリッド配線技術との比較検討と最適化についても調査をはじめる。分子グリッド配線基板の展開研究として、超高感度センシングおよび異種分子グリッドの集積回路化についても最終年度後半に着手する予定である。
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