2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H02310
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐々木 信也 東京理科大学, 工学部機械工学科, 教授 (40357124)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛島 邦晴 東京理科大学, 工学部機械工学科, 准教授 (00349838)
田所 千治 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (00736770)
宮武 正明 東京理科大学, 工学部機械工学科, 准教授 (70434032)
酒井 秀樹 東京理科大学, 理工学部工業化学科, 教授 (80277285)
野口 昭治 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 教授 (80349836)
坪井 涼 大同大学, 工学部, 准教授 (90548158)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | トライボロジー / Additive manufacturing / バイオミメティックス / 摩擦シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
マルチスケール・テクスチャリングの概念をさらに深化させ,表面損傷や摺動環境の変化に自己適応(self-adaptive)する革新的な摺動表面システムを確立することを目標として,生体の皮膚構造を模倣した摺動面アーキテクチャを構築し,数値シミュレーション技術によりその最適化を図るとともに,レーザ焼結型金属用3次元プリンタによる表面創製プロセス技術を応用することにより,3次元微細構造御御により創製した摺動表面の環境適応性能の発現と有用性を実証するため,H28年度から研究を開始し,次の4つの項目に関して以下の研究成果を挙げた.(1)摺動面アーキテクチャの構築:自己応答性摺動面の設計にあたり,必要な機能を摩擦面で発現させる基礎メカニズムを解明するため,基油潤滑下で単一分子種を摺動面に高濃度で供給する効果を,QCM-DやAFMを用いた表面分析により明らかにした.(2)流体-構造連成解析手法の開発:表面下にネットワーク孔構造を有する3次元微細構造表面の固体接触領域の変形状態を把握するため,高精度FEM解析手法を開発に着手し,表面変形を利用した物資供給機構について検討した.また,境界・混合潤滑状態シミュレーションのための流体-構造連成を応用した解析アルゴリズムの構築に着手した.(3)3次元プリンタによる表面創製:摺動面アーキテクチャを実現するためには,3次元微細構造を高い形状精度(孔径100μm以下)で摺動表面に創製する必要がある.物質輸送用のネットワーク孔構造を対象に,最適なプロセス条件(粉末積層厚さ,レーザパワー,レーザ照射速度,レーザ照射手順)を実験的に検討し,微細ネットワーク構造を有した表面創製を行った.(4)自己適応性の評価:摺動界面に供給された物質の作用と機能発現メカニズムを解明するため,ラマン分光その場観察・分析装置を開発した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
金属3次元プリンタを用いた摺動面精密3次元構造の創製技術について,当初の予想よりもプロセス条件最適化が順調に進み,バイオミメティックス表面設計指針に則った構造の創製に成功し,摺動特性評価実験による有用性の確認まで,研究を進めることができた.また,境界・混合潤滑状態における摩擦シミュレーション技術においては,摩擦力発現のモデルをマクロな油切れ現象と,真実接触部における分子膜せん断強度を主要因子として考えることにより,これまでは不可能であった併せ込み不要な解析手法の構築に見通しをつけることができた.さらに,本研究で提案しているバイオミメティック表面アーキテクチャーを,実際のl機械要素表面に応用展開可能な具体的な応用対象も定まり,明確なマクロ性能発現のための表面設計指針の構築も加速させることができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
概念設計に留まっていたバイオミメティックス摺動表面について,金属3次元プリンタの創製プロセス条件最適化が順調に進んだことにより,実際の摺動表面えお創製し,その優位性を確認するまで研究が進捗した.今後は表面アーキテクチャ構築に必須となる摩擦シミュレーション技術を構築するとともに,様々な革新的なアイディアを実現するための3次元金属プリンタによる高精度3次元造形プロセス技術を高度化する.なお,摺動表面における潤滑メカニズムについては,従来の表面分析技術では解明できない現象があるため,高精度,高分解能かつその場観察可能な表面物性計測技術の開発にも取り組みたい.そのため,研究をさらに発展,加速するために,最終年度となるH30年度は基盤研究Sへの移行を図りたい.
|