2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a zero stiffness soft manipulator based on helical motors
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16H02325
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤本 康孝 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60313475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 篤男 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80186139)
下野 誠通 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90513292)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電気機器工学 / 制御工学 / アクチュエータ / ロボティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、スパイラルモータを用いたシングルアーム型ロボットマニピュレータの開発に取り組んだ。まず7自由度ロボットマニピュレータの全体設計を行った。スパイラルモータは直動アクチュエータであるため、設計するロボットは人の筋骨格構造を模した内骨格構造とし、筋肉に相当する部位にスパイラルモータを配する形態としている。スパイラルモータは、加工の容易さと加工精度を考慮しつつ推力密度を向上させる設計を行った。具体的には、電磁界解析により発生推力を最大化するように設計パラメータの調整を行った。試作においては、固定子と可動子は柱状の部材から螺旋曲面形状をワイヤーカットにより切り出すことで製作した。固定子の巻線スロットスペースは切削とワイヤーカットにより成形した。そのほか、螺旋形状の永久磁石やフレーム等の製作を行った。なお、初年度は予算の都合で4台分の製作を行った。巻線加工については、ステータの絶縁塗装の膜厚が想定よりも厚かったため、ターン数が設計値よりも小さくなるという課題が生じた。この課題については、平成29年度に膜厚の制御について検討を行う。さらに、スパイラルモータのモデルを考慮した閉リンク7自由度ロボットマニピュレータの動力学シミュレーションのモデルを作成し、手先位置・姿勢の制御シミュレーションを行い、モータおよびマニピュレータの実現可能性に問題がないことを確認した。以上の成果を、4件の国際会議論文(査読有り)、1件の国内会議論文(査読なし)として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、ギヤなどの機械要素を介さずに大きな力を発生でき、かつ、位置や力を精密かつ高速に制御できるスパイラルモータにより関節を駆動することで、位置と力を精密かつ高速に制御可能なロボットマニピュレータを開発し、これまで困難だった組立作業などの複雑な高難易度タスク実現のための基盤技術を確立することを目指している。 初年度である2016年度は、閉リンクロボットマニピュレータ機構の設計と、そのマニピュレータに適用可能な小型スパイラルモータの開発に注力しており、おおむね計画通りの進捗が見られた。特に、有限要素法による電磁界シミュレーションに基づき、推力密度を最大とする設計パラメータを明らかにした点は重要である。この結果を踏まえて高推力密度の小型スパイラルモータの製作を進めることができた。この設計から、一体型固定子鉄心、一体型可動子鉄心、薄型ネオジム磁石、および、フレームの試作を行っており、2017年度にモータを完成させられる目処が立った。また、制御系の高精度化も並行して進めており、スパイラルモータのパラメータ同定手法の簡易化、および、高精度化、反力推定精度向上を行ったほか、従来課題となっていたゼロパワー制御系の逆応答を抑えたセンサレス力制御の性能改善を実現した。 以上から、当初の計画通りに研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
ステータの絶縁塗装の膜厚が想定よりも厚く、ターン数が設計値よりも小さく課題について、絶縁塗装を廃し巻線スロットに直接絶縁スペーサを組み込む手法を検討する。その後、初年度と同様に4台のスパイラルモータの製作を行う。並行して、初年度に設計した7自由度の閉リンクマニピュレータについて応力解析を行い、最適化を行う。このうち上腕4自由度の製作を行う。製作には強度を考慮して炭素繊維複合材の造形が可能な3Dプリンタを活用する。併せて、スパイラルモータを駆動する複合3相インバータの開発を進める。さらにスパイラルモータのパラメータ同定試験を行い、その結果に基づき、電流制御系の設計と実装を行う。その後、モータ単体でのギャップ制御の実装を行う。スパイラルモータは、無通電時には、永久磁石吸引力により可動子は固定子にタッチダウンした状態となるため、可動子が保持された状態となる。巻線に適切なd軸電流を印可し、ギャップ変位を観測・制御することで、可動子が浮上状態となり、摩擦のほとんどない状態とすることができる。さらに位置制御、および、力制御を実現する。
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