2018 Fiscal Year Annual Research Report
群知能シリコンの創出とIoTセンサネットワークへの展開
Project/Area Number |
16H02337
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
益 一哉 東京工業大学, その他, 学長 (20157192)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電子デバイス・機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)スウォームの創出 (1.1)CMOS-MEMS発電機:無線電力ハーベスティング回路の開発を進めた.ダイオードの閾値電圧による効率・感度低下の問題を改善するために,インピーダンス変換回路出力部の高インピーダンス化が必要となる.従来はディクソンチャージポンプを採用していたが,本研究では入力インピーダンスを高めやすいコッククロフト・ウォールトン回路を採用した.シミュレーションにおいて-32dBmの入力信号から1V以上の出力を得ることに成功した.(1.2)群知能ネットワーク通信技術の開発,(1.3)Si CMOS集積回路設計・評価,(1.4)モジュールの設計:群知能的なカオス信号を生成するための,シンプルかつ用途の広い結合発振回路技術を開発した.3つのリング発振器の結合強度とリンケージを制御しながら,それらを互いに競合させる構成を提案した.180nm Si CMOSプロセスにより集積回路を試作し,モジュールを開発した.実測により,生物学的ニューロンに似た特徴を有するスパイク列や,ノイズ様の信号など多種類の信号が生成できることを見出した.群知能を活用したセンシングの重要な知見が得られた. (2)システムとの接点の構築 (2.1)Wake-up機能搭載と動作検証:Wake-up機能を有し,無線給電により動作するバッテリーレスセンサモジュールの開発を進めた.電磁結合により給電し,発振器型センサ回路の出力信号により給電信号を変調してバックスキャッタリングすることにより通信する方式とした.ICとモジュールを開発し,実測により,温度変化を測定できることを確認した.(2.2)センサネットワークのモデリングと機能評価,(2.3)モデル化マクロ化:(2.1)の通信において電力効率を最大化するために,モデリングと理論解析を進めた.シミュレーションモデルを構築し,定量的評価を進めるための環境を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スウォームの創出については,発電機の設計を進め,-32dBmという非常に高い感度での動作の可能性を示すことができた.さらに,群知能ネットワーク通信技術に関して,結合発振器により多様なカオス信号が生成できることを実証することができ,これによりカオスパターンの観測によるセンシングの可能性を見出すことができた.また本成果は,論文誌IEEE Access (Impact Factor 3.557 (2017))で採択された.システムとの接点の構築については,試作機によりバッテリレス無線通信とセンシングを実証できた.さらにモデリングや理論解析も進めた.したがって,平成30年度の目標は概ね達成した.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) スウォームの創出 1. CMOS-MEMS発電機の設計・試作・評価を行い,群知能シリコンに搭載することを目指す.2. 集団同期現象を基にした低消費電力・群知能ネットワーク通信技術の開発を行う.3. Si CMOS集積回路設計・試作,動作評価を行う.4. フレキシブル基板実装型を目指し,Arduinoなどを活用した群知能シリコンモジュールを開発する. (2) システムとの接点の構築 1. 「群知能シリコン」を利用し,何かの事象が生じた時にWake upしてネットワーク全体が機能する仕組みを開発し,デモンストレーションを目指す.2. センシング対象が数学的にモデル化されたときのSwarm(超小型自律分散電子機器)や群知能シリコンが持つべき機能をマクロ記述できるようにする.
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Research Products
(1 results)