2016 Fiscal Year Annual Research Report
Ultra-low power consumption MEMS antenna with automatic trace function
Project/Area Number |
16H02347
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 健一郎 立命館大学, 理工学部, 教授 (70388122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 紘 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (00469199)
古塚 岐 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (90555608)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MEMSアンテナ / フェーズドアレイ / MEMSスイッチ / 移相器 / アレイアンテナ / 高周波特性 / 自動追尾 / 低損失 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は今までにMEMSスイッチを高抵抗シリコン基板の上に搭載した1ビット移送器の開発に成功した。しかし、基板のグランド面と表面の配線を接続する貫通ビア作製が大きな課題であり、以前に試作したビアがスイッチ作製プロセス後に抵抗が増大して移相器の損失が大きいという問題が発生した。今年度は、この課題を解決してMEMSスイッチの歩留まりを高くするために下記の三通りの手法で移相器を作製して評価を行った。 1.シリコンTSV技術を利用して高抵抗シリコン基板に多数のVIAを作製した。作製表面の凹凸が少なかったために、ほぼ設計通りのスイッチ特性が得られた。試作した移相器の高周波特性を評価した結果、MEMS移相器で期待される低損失特性を24GHzで実証することができた。一方、MEMSスイッチ作製プロセスでミスがあったために、スイッチの歩留まりは高くなかった。 2. LTCC基板を利用したMEMS移相器を試作した。VIAは問題なくできたが、表面凹凸が大きかったために、スイッチと基板の間隔を拡大した。この結果、スイッチの駆動電圧が約180 Vと増大した。試作した移相器の高周波特性を評価した結果、損失が期待したほど小さくないことがわかった。この原因を調査したところ、移相器の導波路の一部にメッキのための導通線路が接続されており、このために高周波特性が劣化したことが推測された。この推測は前の(1)で作製評価したシリコン移相器で確かめることができた。 3.有機樹脂基板COC基板を利用したMEMS移相器の作製を目指して、有機樹脂基板の高周波基本特性を評価した。この結果、70GHzの高い周波数帯まで低損失であることを確かめることができた。 続いて、作製した移送器を使用して1次元方向に走査可能なリニアアンテナの作製を行った。しかし、MEMSスイッチの歩留まりが低いために、アンテナの駆動が不十分であるという問題があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリコンTSVを利用したMEMS移相器を作製して24GHz付近の高周波特性を評価した。この結果、試作した移相器は期待通りの性能をもっていることを実証することができた。この成果は国内で最初のものであり、単なるシミュレーションでなく実際のデバイスで実証したことの意義は大きい。このようにMEMSスイッチをもつ移相器の損失が小さいことが実証できたことによって、本研究で提案したアンテナ実現に近づくことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行った研究においていくつかの課題が明らかになった。これらの課題を以下のように解決する予定である。 1)シリコン移相器において、スイッチ作製プロセスの最適化を行ってスイッチ歩留まりを高くする。 2)LTCC移相器においては、基板凹凸が小さな基板を入手する。また、導波路の設計パターンを修正して、期待通りの特性をもつ移相器を作成する。 3)有機基板上にMEMSスイッチを作製できるようにプロセス開発を進める。 このようにして出来上がった移相器をアンテナに結合してMEMSアンテナの性能評価を行う。最初は1次元アレイアンテナ、これに続いて、2次元アレイアンテナの研究開発を進める。特に2次元アレイアンテナの開発には基板の積層化技術が重要である。このための研究開発を推進する。
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Research Products
(2 results)