2017 Fiscal Year Annual Research Report
土と剛体の相互作用を考慮した制御技術の構築と農業分野への応用展開
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16H02352
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
千田 有一 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (00345753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 正人 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (00324228)
飯塚 浩二郎 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (10453672)
西村 秀和 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科(日吉), 教授 (70228229)
成澤 慶宜 信州大学, 工学部, 研究員 (10804685)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 制御工学 / 運動解析 / 個別要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度では、まず始めに『(課題2) 評価用実験装置を用いた実験による解析モデルの検証』を行うため、評価用実験装置を設計製作した.これは、土と剛体の相互作用を解析するため、再現性のある実験環境を整えることを目的としている。実験装置は、研究代表者が開発したホウレンソウ自動収穫装置の先端部分を模擬し、サイズダウンした形式で構成した。その構成自由度はホウレンソウ自動収穫装置と同様であり、並進2自由度、回転1自由度の合計3自由度の機構とした。さらに、ロードセルを用いた土の抵抗力計測システムを構成して実験装置に組み込んだ。以上、評価用実験装置は当初の計画通りに実現できた。次に、平成28年度に実施予定であった『(課題1) 土と剛体の相互作用の評価が可能な解析モデル構築』について取り組み、粉体解析ソフトウエアであるGranuleworks(R)を用いて、開発した実験装置を用いて計測した実験結果と整合が取れる解析モデルの構築を試みた。幾つかのケースにおける結果の比較を実施したところ、必ずしも整合性の良い結果が得られなかった。この問題の解決を目指す取り組みは、平成30年に継続実施することとし、Granuleworks(R)のモデルを見直すと共にパラメータ調整を行う予定である。一方、開発した評価用実験装置を用いた土の抵抗力計測結果によって、これまで経験的に把握していたホウレンソウ自動収穫装置における根切り刃経路の妥当性を裏付ける新たな知見が得られた。この結果については、平成30年5月に開催された第62回システム制御情報学会研究発表講演会 (SCI’18) にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度で計画していた評価用実験装置の設計製作については当初の予定通り完了し、ロードセルを用いた土の抵抗力計測システムとしての機能も十分な精度で実現できた。これによって、ホウレンソウ自動収穫装置等などで見られる土中における剛体移動に伴う土の作用を再現性良く計測する環境が整った。さらに、開発した評価装置を用いて、ホウレンソウ自動収穫装置で用いられた幾つかの剛体経路を想定した実験を行い、経路の違いによる土の抵抗力の性能差を把握することができた。これにより、これまで経験的に把握していた経路の優劣を、土の抵抗力の観点から改めて評価でき、新たな知見を得ることができた。これらの結果については、平成30年5月に開催された第62回システム制御情報学会研究発表講演会 (SCI’18) にて発表した。一方、『(課題1) 土と剛体の相互作用の評価が可能な解析モデル構築』について、粉体解析ソフトウエアであるGranuleworks(R)のリリースが遅れ、その入手が遅れた影響によってモデル構築の進捗が遅れた。現状では、解析モデルの構築は必ずしも十分ではないため、平成30年度に継続して取り組むことで課題解決を目指す。そのため、一部の課題解決を残しているが、概ね当初の計画通りに研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に評価用実験装置の設計製作を完了し、土の抵抗力などの計測が可能となった。一方、汎用の粉体解析ソフトウエアであるGranuleworks(R)を用いて、土中における剛体移動に伴って発生する土の抵抗力等を計算機シミュレーションで再現する解析用モデルの作成を行った。しかしながら、実験装置によって得られた実験結果とシミュレーション解析の結果は十分に一致していない。平成30年度では、先ずその解決に改めて取り組み、モデルパラメータの再調整等によってある程度整合の取れたモデルの構築を目指す。さらに、「(課題3) 土の挙動を考慮した制御用モデルの構築」および「(課題4) 土の作用を活用した経路追従制御系の設計方法の確立」に取り組む。その場合、実験結果と整合の取れた解析モデルを活用することが理想的である。しかし、精度の良い解析モデルが得られない場合には、実験データに基づいたモデル化のアプローチに変更する。すなわち、平成29年度の取り組みによって製作した評価用実験装置を用いて、モデル化を目的とした幾つかの実験結果とシステム同定手法を活用して実験的にモデルの構築を目指す。以上のアプローチによって制御用モデルを作成する。さらに、それに基づいた適切な経路を生成し、土中における経路追従制御実験を実施する。
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Research Products
(21 results)