2016 Fiscal Year Annual Research Report
実用化に向けた橋梁系インフラのワイヤレス構造モニタリングに関する実証研究
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16H02358
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤野 陽三 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 特任教員(教授) (20111560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 司 東京大学, 生産技術研究所, 特任講師 (10636632)
鈴木 誠 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20615257)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 構造工学 / 地震工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ストックだけでなく地震リスクのマネジメントに貢献する,圧倒的に簡便なワイヤレス構造モニタリング手法による計測・処理技術を具体的に開発し,有用性を実証する.【特殊橋だけでなく「ふつう」の高架橋などを対象にした移動型短中期間振動モニタリング手法の開発と実施,並びにモデル更新法の提案と高精度構造・地震安全性評価への応用】【事後対応として,リアルタイムモニタリングデータを用いた,都市内高架橋などの被害の迅速推定や公共的空間での安心・避難情報の提供】 具体的には,事前対応関連研究:橋梁を対象にして,交通荷重だけでなく,地震などの外力による振動計測を視野に入れた場合,短期,場合によっては中期間で行うシステムの構築が重要な課題となる. ①計測システムの改良と検証:研究連携者の鈴木誠らが中心となって開発してきたワイヤレス24bit高精度MEMS加速度計を利用する.センサは極めて低消費電力で,通信に要する電力の低さは世界のトップを行くものである.新那珂川大橋や高架橋でのモニタリングを想定して,同期サンプリングしたデータを,数10台を対象にリアルタイムで収集するシステムを構築する.バッテリ持続時間は1年間程度を想定する.リアルタイムデータ圧縮方式,電源回路,通信不可時のバッファリング手法などについて検討する. ②実構造物での振動モニタリング:②-1「JR新幹線高架橋での地震・交通振動モニタリング」…北陸進新幹線のPRC高架橋を対象に振動もモニタリングを行う.その目的は,列車走行に伴うたわみが一部の床版で大きいのでその原因を探るためである.②-2「新那珂川大橋で地震・交通振動モニタリング」…2011.3.11地震で被害のあった新那加川大橋において,上記のワイヤレス高精度加速度計による交通振動ならびに地震時の振動を数ヶ月に亘って計測を開始する. ③モデル更新に関する研究をおこなう.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011.3.11東北地方太平洋沖地震で免震支承部に被害が生じた【茨城県にあるネクスコ東日本が管理する新那珂川大橋(斜張橋)とそれに隣接する12径間高架橋】,【首都高速道路が管理する横浜ベイブリッジに隣接する,同じく2011.3.11東北地方太平洋沖地震で金属支承部に被害が生じた大黒ジャンクション高架橋部】で地震応答計測を開始した.茨城県は今でも地震の頻度が非常に高いこともあり,計測することとしたものである. 計測結果を用いてモデル更新(model updating)に関する研究を開始した.解析結果の信頼性を確保するには、用いる数値モデルの妥当性が大変重要となる.しかし、既存構造物のモデル化には、構造モデルそのものの不確定性に加え,材料定数・境界条件・またそれらの材料/構造非線形性や減衰に、経年変化という把握困難な不確定性が加わる.これに対し、「ベイズ推定」による「モデルキャリブレーション」という新しいアプローチを行う.
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Strategy for Future Research Activity |
ワイヤレス地震応答計測システムが改善され,安定的になりつつあるので,今後,いくつもの地震での応答記録が得られることが期待できる.記録によりモデル検証が行われた新那珂川大橋を対象に,人為的損傷をモデルに付加し,リアルタイム損傷同定の手法を確立する.
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