2017 Fiscal Year Annual Research Report
膨潤性岩盤を対象としたマルチスケール・マルチフィジックス岩盤力学の展開
Project/Area Number |
16H02361
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
京谷 孝史 東北大学, 工学研究科, 教授 (00186347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 準治 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00594087)
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
寺田 賢二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40282678)
長田 昌彦 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00214114)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スメクタイト類 / 膨潤挙動 / 膨潤試験装置 / 修正カムクレイモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
スメクタイトの化学的吸水膨潤過程を正確に把握するための新しい膨潤試験装置を試作した.新しい装置の特徴は,供試体を丈夫なゴム膜で覆って圧力容器に入れて吸水膨潤による体積変化によって排出される水量そのものを測定することにある.その機構により供試体の膨潤に伴う形状変化に依存しない体積変化を正確に継続的に計測することが出来る.この試作機を用いてスメクタイト類を代表する粘土鉱物であるモンモリロナイト試料を用いて予備実験を重ねて,ゴム膜で覆った供試体全体に隈無く水を浸透させ,膨潤をスムーズに起こさせるための供試体の作成方法を始め,新しい試験機による膨潤試験方法の確立に注力した.一方で,長時間に亘っての計測において,膨潤量測定のためのアクリル製シリンダー表面に水滴がついて大きな測定誤差を生むことが明らかになった.また,ゴム膜で覆われた供試体に供給する水とその供試体を取り囲む水の圧力を同じになるように設計したが,これを別々に制御する二系統にすることでより多彩な試験が可能となることから,水滴による計測誤差の解消と圧力の二系統化に向けて装置の改良に着手した. 一方において,本研究では最終的に母岩材と不連続面から構成される岩盤の変形強度特性および水理特性を適切に表現する岩盤に対する連成理論モデルを構築することを目的にしているが,その連成理論モデル構築に向けた初期プロトタイプモデルとすべく種々の理論モデルを検討した.その結果,膨潤に伴う軟化挙動を合理的に扱うことが可能な構成則モデルをである修正カムクレイモデルを採用することに決定し,Return-Mappingアルゴリズムに基づく膨潤挙動解析プログラム開発に着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
開発した膨潤試験装置試作機を用いた試験法の確立に,かなりの試行錯誤を必要として時間がかかったこと.また,そのため試作機における改良点などを明らかにするのも遅れたことが理由である.一方で,解析モデルの開発については,修正カムクレイモデルをプロトタイプモデルに採用し,順調に解析コード開発の作業を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,実験研究としては,試験装置の改良作業が終わり次第,本格的な試験を実施する.すなわち,膨潤挙動が顕著なNa型モンモリロナイトの高純度試料を用いたスメクタイト類の典型的な膨潤挙動の把握.それを踏まえての岩石の膨潤試験による実際の膨潤挙動の定量的把握を行う.一方で,修正カムクレイモデルを用いたプロトタイプモデルによる岩盤のマクロ挙動連成解析モデルの改良を勧める.また,スメクタイトの膨潤によって膨張・破壊する岩石の挙動を表現するミクロレベルの解析モデルの開発を行い,マクロモデルと合わせて均質化理論に基づくマルチスケール解析モデルの構築を行う.
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