2018 Fiscal Year Annual Research Report
膨潤性岩盤を対象としたマルチスケール・マルチフィジックス岩盤力学の展開
Project/Area Number |
16H02361
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
京谷 孝史 東北大学, 工学研究科, 教授 (00186347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
寺田 賢二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40282678)
松原 成志朗 東北大学, 工学研究科, 助教 (40823638)
大河原 正文 岩手大学, 理工学部, 准教授 (80223741)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スメクタイト類 / 膨潤挙動 / 膨潤試験装置 / 修正カムクレイモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
スメクタイトの化学的吸水膨潤過程を正確に把握するための新しく試作した膨潤試験装置により,スメクタイト類を代表する粘土鉱物であるモンモリロナイト試料を用いての典型的な膨潤挙動を把握するための試験,およびNEXCO東日本から提供頂いた実際の膨潤挙動を示すトンネル底盤から採取された供試体の膨潤試験を行い,その比較から実際の地山における膨潤挙動の特性を調べた. そして,それらの結果を基にして,浸透圧モデルのアナロジーからスメクタイト鉱物の吸水膨潤挙動のモデル化を行い,膨潤試験の結果に対する予測可能性に着目しつつ,熱力学の枠組みにおけるモデル化についての理論的検討を行った.その結果,提案モデルは決して複雑ではないが,膨潤ポテンシャルと名付けたスメクタイトの吸水膨潤挙動のモデルおよびGIbbsの自由エネルギーの形での剛性低下を示す非線形弾性モデルについてその適用可能性を確認できた. また, 本研究では最終的に母岩材と不連続面から構成される岩盤の変形強度特性および水理特性を適切に表現する岩盤に対する連成理論モデルを構築することを目的にしているが,その連成理論モデル構築に向けたプロトタイプモデルとして,膨潤に伴う軟化挙動を合理的に扱うことが可能な構成則モデルをである修正カムクレイモデルを採用し,Return-Mappingアルゴリズムに基づく膨潤挙動解析プログラム開発を進めた.現時点において,開発したプログラムはベンチマーク問題の正しい解を出すことを確認しており,現在はトンネルの掘削行為および膨潤挙動の追跡を可能ならしめるように,追加的なコードの作成を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新しく開発した膨潤試験装置については,まだまだ改良の余地はあるものの,一定圧条件での試験は順調に行う事ができるようになり,信頼できるデータの取得が可能となってきた.また,少々遅れ気味であった修正カムクレイモデルをベースとする解析コードも完成に近づきつつあるので,当初の計画から見ればやや遅れがちではあるが,最終年度としての今年度末にはそれなりの成果をまとめることができると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
膨潤挙動が顕著なNa型モンモリロナイトの高純度試料を用いたスメクタイト類の典型的な膨潤挙動の把握.それを踏まえての岩石の膨潤試験による実際の膨潤挙動の定量的把握を行う.一方で,修正カムクレイモデルを用いた解析モデルによる岩盤のマクロ挙動連成解析モデルを完成させて,実際のトンネルの現場を提供頂き,膨潤破壊挙動への適用可能性を検討する.
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