2018 Fiscal Year Annual Research Report
流域資源管理に向けた水文・藻類モデルを利用した河川総生物量推定手法の開発
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16H02363
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
風間 聡 東北大学, 工学研究科, 教授 (50272018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 信 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10447138)
糠澤 桂 宮崎大学, 工学部, 助教 (20725642)
竹門 康弘 京都大学, 防災研究所, 准教授 (50222104)
小森 大輔 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50622627)
坂巻 隆史 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60542074)
藤林 恵 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (70552397)
西村 修 東北大学, 工学研究科, 教授 (80208214)
横尾 善之 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (90398503)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオマス / 栄養塩 / 食物連鎖 / 純一次生産量 / 水生昆虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境DNAの分解速度を推定するために魚を用いた水槽実験を行った.水槽実験においては魚の放出した環境DNAと水槽内の乱流強度,飼育した個体数の相関を調べた. この結果,個体数密度の違いによるDNA初期濃度の違いや流速は分解速度に影響を及ぼさないことが理解された.また,河川水中の無脊椎動物のDNAを対象とし, 定量PCRによる無脊椎動物DNA濃度およびメタバーコーディングにより得られた目的生物群集のDNA含有割合を用いたところ,両推定値とも有意な正の相関をカゲロウ, カワゲラ, ハエ目が示した.環境DNAと水文改変指標について,観測データやシミュレーション等を駆使して有効性を検討した. 前年度から継続して志津川湾奥部で河口部食物網への河川影響評価のための調査を行った.連続観測の結果,植物プランクトンは3月頃低水温による制限から解放されて濃度が増すこと,さらに温暖期の強い栄養塩制限下では降雨による河川からの栄養塩流入にともなって植物プランクトン濃度がパルス的に上昇することが明らかになった. 阿武隈川水系東鴉川流域における炭素収支および炭素動態を調べた結果,衛星データで推定した純一次生産量の約1/3がリターフォール量となっている.リターフォール量の0.8%が溶存有機炭素量として東鴉川から流出していることが分かった.一方,炭素・窒素安定同位体比と脂肪酸を用いた食物網解析から河川上流域の食物連鎖を支えている有機物源は付着藻類であり,落葉などに由来するリターはほとんど利用されていないことが明らかとなった.しかし,秋田県の渋黒川ではリター由来の有機物が主要な炭素源として利用されていることが,炭素・窒素安定同位体比の結果から示された.渋黒川はpHが3程度の酸性河川であり,付着藻類の現存量が極めて少ない.そのような特殊な環境下ではリターの有機物源としての重要性が相対的に増していると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
森林バイオマスの現地観測データの収集が2年続けてうまくいっておらず,検証用のデータが獲得できていない.これについては既存の推定式の代表を考えている.藻類から水中生物バイオマスの推定式は精度が低い.実測データの質・量に問題がある.同時集中観測を実施し,データ量の確保を実現する.
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Strategy for Future Research Activity |
検証用のデータが獲得できていないことについては既存の推定式の代表を考えている.藻類から水中生物バイオマスの推定式は精度が低く,改善の必要がまだ必要である.核となるモデルの考察用データ(同位体,脂肪酸)などは蓄積されているが,全体として遅れている.最終年度は,環境DNAの利用も含めて,水中バイオマス推定式を確定する予定である.
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Research Products
(21 results)