2016 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢・省エネ時代の居住に係る健康リスクとリテラシー効果の推定法
Project/Area Number |
16H02380
|
Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
林 基哉 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (40320600)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 勲 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (00454033)
大澤 元毅 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (20356009)
菊田 弘輝 北海道大学, 工学研究院, 助教 (20431322)
山田 裕巳 長崎総合科学大学, 付置研究所, 教授 (30610787)
阪東 美智子 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (40344064)
長谷川 兼一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50293494)
開原 典子 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (70756486)
欅田 尚樹 国立保健医療科学院, その他部局等, 部長 (90178020)
本間 義規 宮城学院女子大学, 生活科学部, 教授 (90331272)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | リテラシー / シックハウス / 換気システム / ハイリスク対象 / 省エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は、以下の目的で研究1~研究5を実施した。 研究1:「居住環境の健康リスクの考え方」では、居住形態、住宅構法・設備等が与える影響について、既往の知見を整理して居住に係る健康リスクのフロー作成のために、居住形態及び住居構法・設備に関する要素の類型化に関する検討を行った。 研究2:居住リテラシー、住居・設備、室内環境に関する調査では、2003年の建築基準法シックハウス改正前後の全国の住居(高齢者福祉施設を含む)を対象に、室内環境の簡易測定を行った。住宅では、パッシブ換気等を含めた20件の住宅で、住宅性能及び室内環境、居住に関する調査を行い、高齢者施設では、北海道、東北、関東の15件で室内環境の測定を実施し、居住状況、換気、室内環境に関する分析を行った。また、カビ・ダニアレルゲンの測定法に関する試行を実施した。なお、全国を対象としたアンケート予備調査については、居住リテラシー―に関する質問項目の検討を深めてから実施することとした。 研究3:「居住リテラシーを考慮した室内環境予測手法」では、既往の隙間ネットワーク、窓開放習慣等のデータによるシミュレーション“Fresh”に、研究1及び2の知見に基づいて居住リテラシーの影響を加える方法の検討を行い、各種の換気システムを有する住宅をモデルにして試行し、室内環境及び健康リスクに関する比較を行った。 研究4:「居住に係る健康リスクに関するケーススタディー」では、一般住居に加え、高齢者、障がい者等のハイリスク対象の住居に関するケーススタディーを、シミュレーション及び調査によって明らかにするため、高齢者施設を対象に、実態調査結果を踏まえた改修計画案について検討し、既調査対象における改修や改善対応に関する情報提供を行った。これらによる居住リテラシー醸成とその効果に関する調査計画を作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度は、以下の研究を実施する。 研究2:「居住リテラシー、住居・設備、室内環境に関する調査」では、平成28年度の予備調査結果に関する評価を行った上で必要な計画の修正を行う。続けて、2000-2005全国室内空気質実態調査及びカビダニ等アレルゲンの調査に居住リテラシーに関する内容を加えた全国調査を開始する。測定対象は、全国の住宅と高齢者施設で、測定は50件程度とする。同一対象に対して冬期と夏期に行う。また、基礎データとして、人口動態統計の死因に関するデータを用い、気象条件と死因の関係に関する分析を行う。 研究3:「居住リテラシーを考慮した室内環境予測手法」では、研究2の分析結果に対応した、住居・設備モデルおよび居住リテラシーの想定とプログラム化の妥当性の検証を行い、プログラムの改修を行う。また、研究4のモデルスタディーにおける住居・設備モデル及び居住リテラシーの想定によるシミュレーション結果と空気環境及び温熱環境の測定結果との照合を行い、プログラムの改修を行う。 研究4:「ハイリスク対象のモデルスタディー」では、29年度から、シックハウス対策法前後の高齢者住宅、復興住宅、高齢者施設等のハイリスク対象と一般住宅について、シミュレーションを行うと共に、実測調査の準備を始める。実測調査については、これまでに測定対象とした北海道、東北、関東の高齢者施設、新たな施設で、改修及び加湿や換気に関する改善を試みる場合について、リテラシー効果を検証するためのヒアリング等の調査と室内環境測定を行う。また、フィンランドの高齢者施設における実態調査を行って、リテラシーと室内環境の関係を把握する。 研究5:「居住リテラシーに関するガイドライン」では、居住リテラシーを考慮したシミュレーション、ハイリスク対象のモデルスタディーの結果を受けて、居住に係る健康リスクのフローにおける要因と寄与係数等を設定する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、超高齢社会の到来しハイリスク対象である高齢者が増加するなかで、省エネルギーに伴う様々な住居環境の変化が生じつつあることを踏まえて、これらが与える健康影響について予測し、リスクを防除する手法を確立することを目指している。 その手法の前提となる実態の把握とその方法に関する技術として、リテラシーに関する把握方法、室内環境及び居住者行動の把握方法の開発が必要であるため、研究の前半ではその試行を行っている。リテラシーの把握については、WHOのタバコの健康影響に関する問診方法を参考にしたアンケート調査方法を検討している。また、室内環境の測定では、インターネット回線を用いたデータ収集、居住者行動に関しては、赤外線分布から居住人数をモニターするシステムの検証を行なった。本調査では、コストと精度を踏まえたシステムを用いることとし、具体化を早急に行う予定である。 各分担者の担当項目及び、調査地域の組み合わせを考慮して、効率的な研究実施に留意する。
|
Research Products
(22 results)