2017 Fiscal Year Annual Research Report
異相界面での反応拡散とイオン交換による高イオン伝導性結晶配向セラミックスの開発
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16H02396
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 功一郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90189944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅香 透 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80525973)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セラミックス / 構造・機能材料 / 環境材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に実施した研究で、「気相-固相反応拡散による配向多結晶体生成の速度論的解析」に成功した。具体的には、固相のLa2GeO5ランダム配向多結晶体と気相の[GeO + 1/2O2]が反応すると、La9.33+2xGe6O26+3x組成のゲルマン酸ランタンオキシアパタイト(LGO)の多結晶体が生成する。この多結晶体は(001)面に垂直な方向に伸長した柱状結晶の集合体から構成されており、元の反応界面に垂直な方向に伸長方向が揃っている。そのため、ロットゲーリングファクター(f00l)の値は0.94から0.99の間を示しており、極めて高い配向度を有する。 ランダム配向多結晶体と気相との反応拡散(気相-固相反応拡散)で生成するLGO配向多結晶体の厚み(L(LGO))は、加熱温度(T/K)と加熱時間(t/s)を用いて、L(LGO) = {exp(-1.502 × 10^4/T - 5.233)} × t^1/2で表された。一方、固相のLa2SiO5ランダム配向多結晶体と(La2Si2O7から放出される)SiO2成分が反応すると、La9.33+2ySi6-1.5yO26組成のケイ酸ランタンオキシアパタイト(LSO)の多結晶体が生成する。この固相-固相反応拡散で生成するLSO配向多結晶体の厚み(L(LSO))は、加熱温度(T/K)と加熱時間(t/s)を用いて、L(LSO) = {exp(-2.378 × 10^4/T - 1.6573)} × t^1/2で表される。L(LGO)とL(LSO)の温度・時間変化を表す式から、反応速度を比較した。例えば1748 Kでは、LGOの生成速度はLSOの生成速度よりも3倍以上速いことが分かった。以上から気相-固相反応拡散は、固相-固相反応拡散と比較して、反応速度や形状の自由度などの点で極めて優れた結晶配向化手法であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配向多結晶体の作製に関して、従来の固相-固相反応拡散法と新規手法としての気相-固相反応拡散法を比較して、後者の特長を明確化することができた。平成29年度の研究計画を十分に達成していることから、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の固相-固相反応拡散法と新規手法としての気相-固相反応拡散法を比較して、後者のメリットを明確にすることができた。今後は、両手法を目的に応じて使い分けて、それぞれの特長を生かした配向多結晶体の作製を行い、結晶構造と化学組成、微細組織を最適化することでイオン伝導度のさらなる向上を目指したい。
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