2016 Fiscal Year Annual Research Report
間欠的高周波重畳荷重を受ける溶接継手疲労寿命評価法の開発
Project/Area Number |
16H02432
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大沢 直樹 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90252585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田丸 人意 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (00361808)
飯島 一博 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50302758)
堤 成一郎 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (70344702)
深澤 塔一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80143171)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 疲労強度 / 弾性振動影響 / ホイッピング / スプリンギング / 荒天避航 / 嵐モデル / 非線形船体応答解析 / 動電型起振装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
北太平洋を航行する6000TEUコンテナ船中の溶接継手の疲労強度評価を行った.解析対象船の航路として,大圏航路と最短時間航路の2ケースを解析した.疲労強度は線形船体応答解析に基づく疲労被害度解析と,き裂開閉口を考慮した疲労き裂伝播解析で実施した.その結果,本研究の解析条件では大圏航路を想定した場合の疲労寿命は,最短時間航路を推定した場合より平均で約25%短くなること,および荒天避航を考慮した場合も従来と同様の手順で嵐モデルを構築できることがわかった.一方,荒天避航あり・なしの短期海象履歴(各1航海)について非線形船体応答シミュレーションプログラムTSLAMを用いた応力履歴解析を実施したところ,荒天回避を行わないと疲労被害度が1.75倍に増大することがわかった. 非重畳期間の応力振幅を重畳波形の1次波と同じに設定した間欠高周波重畳疲労試験を実施した.その結果,本年度の実験条件でも間欠重畳時の疲労寿命が定常重畳時より延伸する傾向が確認されたが,寿命延伸の程度は,既報の等価応力振幅を一定に保った場合より小さい傾向がみられた.また,間欠重畳試験中に等価応力振幅を変化させると,き裂発生寿命に複雑な荷重履歴影響が生じた. 既報で開発した回転偏心錘と回転ハンマを用いた板曲げ振動疲労試験装置では発生できない,ホイッピングの衝撃発生頻度と衝撃力を独立に制御でき,スプリンギングの1次波・2次波振幅比・周波数比を連続制御できる動電式板曲げ振動疲労試験装置を開発し,実働ホイッピング重畳荷重波形の特徴を再現した高速負荷が可能なことが確認された.この試運転中に,板曲げ試験体・駆動機構が共振して,起振機荷重波形と溶接継手部歪波形の相似性が損なわれる場合があることが分かったので,歪信号による直接制御,加振周波数の調整,駆動機構の改造等の対策を実施中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の目標として,a)荒天避航と海象発現順序を考慮した間欠重畳荷重履歴の数値シミュレーションと間欠重畳疲労試験における荷重波形選択方法の開発,b)ホイッピングの衝撃発生頻度と衝撃力を独立に制御でき,スプリンギングの1次波・2次波振幅比・周波数比を連続制御できる板曲げ振動型(PBV)疲労試験装置の開発を設定した. a)については,荒天避航を考慮した遭遇海象発現時刻歴データベースの構築と,荒天避航を考慮した海象発現順序モデル(嵐モデル)の構築を達成した.また,非線形船体応答解析に基づく間欠重畳荷重履歴シミュレーションを実施するための解析システムの構築が完了し,荒天避航あり・なしの各1航海について応力履歴生成を実現した.しかし,非線形船体応答解析の計算工数が予想外に大きかったため,短期海象中のホイッピング衝撃荷重の最大応力・発生頻度・発生間隔の確率分布を決定するためのシリーズ計算を平成28年度中に完了することはできなかった. b)については,年度当初は回転偏心錘り起振機の改造を計画した.しかし,仕様設計にあたり市場調査を行ったところ,動電型振動試験機の価格性能比が研究計画調書執筆時から向上して,本研究で要求する起振性能を達成できることがわかった.そこで,最高4kHの超高周波数でデジタル制御により任意波形を負荷できる起振機を使用して試験装置を開発した.これにより,ホイッピングの衝撃発生頻度と衝撃力の独立制御,スプリンギングの1次波・2次波振幅比・周波数比の連続制御が達成された.装置の試運転中に,板曲げ試験体・駆動機構が共振して,起振機荷重波形と溶接継手部歪波形の相似性が損なわれる場合が現れた.この問題を開発するため,光ファイバセンサで計測した歪波形を制御に使用するための技術開発を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成28年度に開発した荒天避航を考慮した海象データベース・海象発現順序シミュレーション手法により衝撃荷重発生確率を考慮した非線形流力弾性モンテカルロシミュレーションを実施して,船体弾性振動発現確率モデルを構築する. (2)平成28年度に開発した,ホイッピングの衝撃発生頻度と衝撃力を独立に制御でき,スプリンギングの1次波・2次波振幅比・周波数比を連続制御できる動電式板曲げ振動疲労試験装置を,光ファイバ歪センサ出力で制御できるよう改良する. (3)非線形流力弾性モンテカルロシミュレーション結果に基づく,間欠重畳疲労試験で負荷する応力波形の決定. (4)動電型フルデジタル制御PBV疲労試験装置を使用した間欠重畳疲労試験.研究計画調書では,平成29年度に油圧疲労試験機による検証実験も予定していたが,実験棟の耐震改修で平成29年度中の疲労試験機の運転が不可能になったので,油圧疲労試験は平成30年度に延期する.
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Research Products
(8 results)