2019 Fiscal Year Annual Research Report
30%超タンデム太陽電池用超薄膜ペロブスカイト太陽電池と光閉じ込め貼り合わせ技術
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16H02451
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊原 学 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (90270884)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 工学 / 総合工学 / エネルギー学 / エネルギー生成・変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペロブスカイト/Siハイブリッドタンデム太陽電池は、理論的には30%以上の変換効率が可能である。しかし、4端子型タンデム構造でさえ、14%程度の変換効 率にとどまっている。そのためのKeyとなる技術課題は、1. 赤外光に対して透過なトップ層ペロブスカイト太陽電池の開発、2. ペロブスカイト太陽電池、Siハ イブリッド太陽電池のそれぞれの効率を低下させずに2端子タンデム太陽電池を作製する作製方法の開発である。 本研究では、研究代表者らがこれまで先駆け的に研究をおこなってきた自己組織化などによって金属ナノ粒子を配列させ、局在表面プラズモンおよび表面プラズ モンポラリトンを利用する“光のマネージメント”(特定波長の量子収率の向上、透過/反射/吸収の制御)によって、「1. タンデムトップセル用“赤外光に対 して透過な逆型ペロブスカイト太陽電池”の開発」をおこない、「2.光閉じ込め貼り合わせ技術の開発」などを検討し、それぞれのセルへの変換効率への影 響を最小限にした高効率ペロブスカイト/Siハイブリッド2端子タンデム太陽電池を開発することを目的としている。 2019年度は、ペロブスカイト層の結晶サイズ、結晶粒界とペロブスカイト太陽電池特性の関係を定量的かつ独立に評価する手法を確立した。電子輸送層となるペロブスカイト下地層TiO2表面のラフネスを変化させることで、添加剤等を用いることなくペロブスカイト層の結晶サイズを変化させることができることがわかり、結晶サイズと発電特性の関係を明らかにした。また、「30%超タンデム太陽電池用超薄膜ペロブスカイト太陽電池」実現のために必要な、40μm厚のSi単結晶薄膜高速作成法を提案し、その半導体特性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 2019年度は、ペロブスカイト層の結晶サイズ、結晶粒界とペロブスカイト太陽電池特性の関係を定量的かつ独立に評価する手法を確立した。電子輸送層となるペロブスカイト下地層TiO2表面のラフネスを変化させることで、添加剤等を用いることなくペロブスカイト層の結晶サイズを変化させることができることがわかり、結晶サイズと発電特性の相関を明らかにした。また、「30%超タンデム太陽電池用超薄膜ペロブスカイト太陽電池」実現のために必要な、40μm厚のSi単結晶薄膜高速作成法を提案し、ウェハーと同等レベルの品質が得られることを明らかにした。また、タンデム化に必要な、単結晶Si表面を、ペロブスカイト太陽電池電子輸送層であるTiO2によりパッシベーションを行う検討にも着手した。以上のことから、設定した課題に対して、「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、ペロブスカイト層結晶子サイズをさらに向上するための加熱処理手法を検討し、高効率なタンデム太陽電池トップ層の開発を目指す。また、「30%超タンデム太陽電池用超薄膜ペロブスカイト太陽電池」実現のために提案した、“Si単結晶薄膜太陽電池の低コスト化、高効率化技術”において、高速、高純度かつ低欠陥の膜を作成する手法の開発を目指す。また、タンデム化に必要な、単結晶Si表面に対する、ペロブスカイト太陽電池電子輸送層であるTiO2によるパッシベーションによる影響を検討する。
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