2017 Fiscal Year Annual Research Report
免疫チェックポイント阻害療法のさらなる効果向上を目指した基盤的がん免疫研究
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16H02474
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
玉田 耕治 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00615841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐古田 幸美 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (30629754)
安達 圭志 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40598611)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 癌 / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は以下の2点について研究を実施した。第一に、平成28年度の研究成果により、腫瘍微小環境における抗腫瘍免疫応答の抑制には腫瘍細胞上に発現するPD-L1のみならず、ストローマ細胞を含む宿主細胞上に発現するPD-L1が機能していることが明らかとなった。そこで、骨髄幹細胞由来の造血系細胞に発現しているPD-L1が抗腫瘍免疫応答の抑制に重要なのか、あるいは非造血系の宿主細胞に発現するPD-L1が重要なのか、を検討するために、骨髄破壊的な放射線を照射したwild-typeマウスにPD-L1-KOマウス由来の骨髄細胞を移植、あるいは逆に、骨髄破壊的な放射線を照射したPD-L1-KOマウスにwild-typeマウス由来の骨髄細胞を移植し、それぞれのキメラマウスに対して腫瘍を接種して増殖や拒絶を観察した。その結果、骨髄幹細胞由来の造血系細胞に発現するPD-L1が抗腫瘍応答の抑制において重要な機能を有することが明らかとなった。第二に、P815マストサイトーマのドミナントな腫瘍抗原であるP1Aペプチドを認識するTCRを遺伝子導入したT細胞(以下、P1A-CTL)をP815腫瘍接種マウスに投与し、抗腫瘍効果が得られたマウスと得られなかったマウスのそれぞれからP1A-CTLを採取し、そのフェノタイプの違いを次世代シーケンサーにて網羅的に比較解析した。その結果、抗腫瘍効果が得られなかったマウスから採取したP1A-CTLはPD-1やTIGITなどの疲弊マーカーを強く発現することが判明した。さらにPD-1やTIGITと連動して発現する複数の分子を同定した。これらの分子は新規の免疫チェックポイント分子として機能する可能性があり、今後これらの分子の機能を解析することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年間の研究計画の2年目であるが、当初の研究計画に示された内容について予定年度にかかわらず前倒しで実施した。腫瘍微小環境においてPD-1と連動して発現する未知の免疫チェックポイント分子に関して新しい知見が得られるという進捗があった。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍微小環境での腫瘍免疫抑制について、PD-L1/PD-1経路に加えてPD-L2/PD-1経路やPD-L1/CD80経路が有する機能について解析を進めるとともに、学会や学術誌での発表をおこなう。また、新規免疫チェックポイント分子の探索と機能解析を推進する。
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Research Products
(43 results)