2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H02494
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 敏之 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (30273858)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自然免疫 / TLR / X線結晶解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然免疫は病原体の感染をいち早く察知し炎症反応を引き起こす一方、後に続く獲得免疫を誘導するという極めて重要な役割を果たす。自然免疫における病原体センサーとしては、細胞質局在型のNod様受容体 (NLR;Nod-like receptor)と膜結合型のToll様受容体 (TLR;Toll-like receptor)に大別される。Toll様受容体TLR7およびTLR8はウイルスや死細胞に由来するRNAを認識して自然免疫反応をひき起こすが,過剰応答の場合は、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患に関係することが指摘されている。このためTLR7/8を活性化する化合物(アゴニスト)と同様に阻害する化合物の開発も望まれている。今回我々は,ヒトのTLR8の細胞外ドメインの全長につきC末端にプロテインAタグを付加したコンストラクトを用い,糖鎖の生合成の阻害剤であるキフネンシンの存在のもとショウジョウバエS2細胞において発現させ,高純度の精製試料を得た。TLR8と,それぞれのアンタゴニストとを蒸気拡散平衡法により共結晶化し,X線結晶構造解析により分解能2.4, 2.3Åで構造を決定した。これにより,阻害剤によるTLR8の阻害機構を原子レベルで明らかにした.これまでの研究によりTLR8はリガンドが結合していない状態でも非活性型の二量体構造をとり、アゴニストが結合するとTLR8二量体が再構成され活性型となることが知られている。今回解析した阻害剤はリガンド非結合型の二量体構造で形成されているポケットに結合し構造を安定化することによって活性型二量体への再構成を防ぐことで阻害効果を発揮することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
阻害剤との複合体構造解析により、リガンド非結合型二量体にのみ存在するポケットに阻害剤が結合し安定化するというまったくあらたな阻害機構を明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
TLRに加え、NLRの構造解析に注力する。
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[Journal Article] Small-molecule inhibition of TLR8 through stabilization of its resting state2018
Author(s)
Zhang S, Hu Z, Hiromi Tanji H, Jiang S, Das N, Jing Li, Sakaniwa K, Jin J, Bian Y, Ohto U, Shimizu T & Yin H
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Journal Title
Nature Chem. Biol.
Volume: 14
Pages: 58, 64
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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