2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H02507
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
吉田 松生 基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, 教授 (60294138)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス精巣において、均一と考えられている前駆細胞集団だけが含まれる出生時から、幹細胞と分化細胞が恒常的に共存して安定した精子形成が起こる定常状態が作られるまでの数週間のプロセスの解析を、生殖細胞の不均一性と系譜に注目して推進した。この時、幹細胞(自身を維持したまま精子となる分化細胞を作り続ける細胞)だけではなく、幹細胞とならずに直接分化過程に入る細胞 (いわゆるfirst wave) が生まれる(Yoshida et al., 2006)が、出生後初期にはこの運命の方向づけがすでに起こっていることを示唆する結果が得られている。そこで、蛍光免疫染色法を用いて、出生後初期の幼若精巣において、前駆細胞の示す遺伝子(タンパク質)発現の不均一性を解析した。その結果、幾つかの重要な遺伝子が、成体の定常状態にある成熟精巣と出生直後の未熟な発達段階の精巣で異なるパターンで発現することが明らかとなった。精子形成の形成期を、成熟期から外挿して理解することの限界を示すもので興味深い。さらに、これらの遺伝子のうちの一つに注目し、それを発現する細胞を幼若精巣でパルス標識して運命を追跡したところ、発達期の精巣で最初に分化する細胞に高率で寄与することが分かった。この、いわゆるfirst waveの細胞は、生後最初の精子を作るものの、その後に続く長期間の精子形成(幹細胞になった細胞に由来する)には寄与せず、次世代を生み出す確率は非常に低い。したがって、この結果は、次世代を生む細胞が選択される上で重要な知見であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「6.研究実績の概要」に記載のように、未熟な発達期精巣において、幹細胞とならず次世代への寄与が大変小さい細胞集団をプロスペクティブに同定することができた。このことから、本研究は順調に進捗していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
発達期精巣において幹細胞システムが構築されるプロセスの解析を進める。特に、前駆細胞から幹細胞を生み出す細胞集団をプロスペクティブに同定することを目指して、細胞の不均一性を詳細に検討していきたい。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Competition for Mitogens Regulates Spermatogenic Stem Cell Homeostasis in an Open Niche.2019
Author(s)
Y. Kitadate, D.J. Jorg, M. Tokue, A. Maruyama, R. Ichikawa, S. Tsuchiya, E. Segi-Nishida, T. Nakagawa, A. Uchida, C. Kimura-Yoshida, S. Mizuno, F. Sugiyama, T. Azami, M. Ema, C. Noda, S. Kobayashi, I. Matsuo, Y. Kanai, T. Nagasawa, Y. Sugimoto, S. Takahashi, B.D. Simons and S. Yoshida
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Journal Title
Cell Stem Cell
Volume: 24
Pages: 1-2
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] MAFB is dispensable for the fetal testis morphogenesis and the maintenance of spermatogenesis in adult mice.2018
Author(s)
H.H. Shawki, H. Oishi, T. Usui, Y. Kitadate, W.A. Basha, A.M. Abdellatif, K. Hasegawa, R. Okada, K. Mochida, H.A. El-Shemy, M. Muratani, A. Ogura, S. Yoshida and S. Takahashi
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Journal Title
Plos One
Volume: 13
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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