2016 Fiscal Year Annual Research Report
マクロ・ミクロ統合解析による寒冷血管拡張反応の生理的多型性出現メカニズムの解明
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16H02529
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
工藤 奨 九州大学, 工学研究院, 教授 (70306926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
世良 俊博 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40373526)
中嶋 和弘 九州大学, 工学研究院, 助教 (70315109)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 寒冷血管拡張反応 / 温熱血管収縮反応 / ウェーブレット変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境変化に対する寒冷血管拡張反応の生理的多型性出現メカニズムをマクロ・ミクロ両アプローチから明らかにすることを最終目的とし,生理人類学分野における革新的方法論を構築する. 従来までの血管拡張反応の成果に,1)一塩基多型 (Single Nucleotide Polymorphism: SNP)による個体集団のDNA多型解析,2)細胞レベルでの一塩基置換による塩基配列と生理機能との結合を導入することで,従来まで不連続であった個体集団のマクロ解析と細胞・細胞内分子・塩基情報のミクロ解析を連続的に統合解析する方法論を構築し,上段目的の達成を目指す. 平成28年度は,寒冷血管拡張反応(CIVD)および温熱血管収縮反応(HIVC)計測を主としておこなった. 被験者は20名,20℃,25℃の2条件を環境温とし,CIVDおよびHIVC血流計測をおこなった.血流計測などの生理データ計測前に安静後,レーザードップラー血流計を用いて冷水および温水暴露前の右手中指腹側の血流量を15分間計測した(コントロール).その後,中指を第二関節まで5℃の冷水および42℃に30分間浸し中指腹側のCIVDを計測した.30分間の冷水暴露後に,設定環境温下で計測をおこなった.レーザードップラー血流波形からウェーブレット変換による5つの周波数帯に分類し,内皮細胞,神経由来,平滑筋由来の周波数成分の比較検討をおこなった. CIVD開始時に内皮細胞に関連した0.0095-0.02Hz周波数帯の相対エネルギーに優位な増加が見られ,神経に関連した0.02-0.06 Hzの周波数帯の相対エネルギーに有意な減少が見られた.一方HIVCに関しては,反応開始時に内皮細胞に関連した0.0095-0.02Hz周波数帯の相対エネルギーに優位な減少が見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CIVDおよびHIVC計測は安定的に取得でき,解析もおおむね順調に進んでいる. CIVDおよびHIVC血流計測においては,現時点で被験者は20名であるが,DNA解析のためにH29年度までに50名を目指し計測をおこなう. また,平成30年度以降での細胞計測を予定しており,マイクロ加工により数100μm四方の領域内に生体内環境を模擬し同一環境で大量に細胞機能を計測できるシステムを現在までに構築しており,ほぼ完成に近づいた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度と同様に血管調節に関与する末梢因子1,2,3の各周波数帯の強度変化を調べる.1: 血管内皮細胞(0.0095-0.02 Hz) 2: 神経活動(0.02-0.06 Hz)3: 血管平滑筋(0.06-0.15Hz).1,2,3の強度分布と生理データとの相関を調べCIVDおよびHIVCのタイプを分類する. さらに,平成29年度は被験者より採取した唾液からDNAを抽出し,SNP解析をおこなう.SNP解析にはジャポニカアレイシステムを使用する. 平成30年度以降は,CRIPR-Cas9を使用する予定であるので,細胞に対する一塩基置換の準備を進める.
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Research Products
(9 results)