2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on mechanisms of pathogenicity divergence in Fusarium oxysporum by structural and functional analyses of small chromosomes
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16H02536
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
有江 力 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00211706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 祐一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 主任研究員 (00456609)
小松 健 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60451837)
川部 眞登 富山県農林水産総合技術センター, 富山県農林水産総合技術センター園芸研究所, 主幹研究員 (60462678)
赤木 靖典 鳥取大学, (連合)農学研究科(研究院), プロジェクト研究員 (60626589)
荒添 貴之 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 助教 (40749975)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フザリウム / 小型染色体 / 宿主特異性 / 病原性分化 / トマト萎凋病 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)Fusarium oxysporumの病原性関連小型染色体のシーケンシング F. oxysporumのうち、宿主範囲等が異なる分化型・レース複数株(トマト萎凋病菌1株、キャベツ萎黄病菌2株(小型染色体喪失株)、バナナパナマ病菌1株、エンドウ萎凋病菌2株、非病原性株2株の計8株)を対象に、SMARTシーケンシグによる全ゲノム解析を行った。得られたコンティグ中から病原性関連小型染色体の検索法を確立した。ウリ科に感染する菌株についてSIXの分布とSNPs解析を行った。 (2)F. oxysporumの病原性関連小型染色体の比較構造解析 小型染色体座乗遺伝子(エフェクター等病原性関連遺伝子)の保持、シーケンスを比較した。トランスポゾンの存在および分布を考察した。病原性に関連する可能性が示唆されたSIXs、FoQde-2、RecQ、SMS-2遺伝子等の機能解析を行うこととした。 (3)F. oxysporumの病原性関連小型染色体に座乗する遺伝子(群)の機能解析 FoQde-2、RecQ、SMS-2の機能および病原性や宿主特異性との関連を明らかにするため、トマト萎凋病菌で、二回相同組換え法によって破壊株を作出、形質の調査を開始した。F. oxysporum用に新構築したCRISPR/Cas9システムを用い、キャベツ萎凋病菌のSIX4の高効率破壊 (~100%) に成功した。構築したCRISPR/Cas9システムをベースに,既に機能が明らかになっているSIX1およびSIX4遺伝子近傍にマーカー遺伝子をノックインするためのCRISPRベクター,機能未知であるSIX8およびSIX9遺伝子を破壊するためのCRISPRベクターならびにSIX8およびSIX9遺伝子近傍にマーカー遺伝子をノックインするためのCRISPRベクターを構築した。トマト近縁野生種でSIX2, 6, 7, 8, 9, 13を一過的発現系で強制発現させ、抵抗性誘導能を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設定している3つのサブテーマとも予定通り進捗している。 切り出した小型染色体のシーケンシングデータの解析が困難であったが、低廉化したSMARTシーケンシングによるロングリードシーケンシングを実施することで、8株の全ゲノムシーケンシングを終了、順調に解析を行っている。これまでの成果との比較でトランスポゾンの重要性が明らかになったのは予想以上の成果であった。遺伝子破壊も順調に推移、すでに1報を投稿中である。また、新たな分担者を加えることで、フザリウム用に特化したCRISPR/Cas9システムを構築、その有効性を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
一部手法の見直しは行ったものの、全体的に当初の計画通り進行しているため、このまま研究を継続・推進する。 H30年度は最終年度であるため、H29までにロングリードシーケンシングなどで得たデータに基づき、遺伝子機能の解析を進めるとともに、H29に明らかになったhorminなどのトランスポゾンの重要性を確認するため、ゲノム上のトランスポゾンの分布等を解析、病原性関連遺伝子の座乗位置や変異との関連を探ることで、研究目的である小型染色体の機能解析にさらに肉薄する。
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