2017 Fiscal Year Annual Research Report
体脂肪量を制御する褐色脂肪の退縮・活性低下機構の解明と応用基盤研究
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16H02551
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河田 照雄 京都大学, 農学研究科, 教授 (10177701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 剛 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10550311)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 褐色脂肪 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
褐色脂肪細胞(褐色脂肪)は、熱産生を専門に営む唯一の細胞であり、活発に脂肪を消費し熱に変換する。その「退縮」と「活性低下」は、いわゆる「中年太り」の主要因となる。また、肥満や高脂肪食により、遺伝子発現の抑制をもたらすDNAのメチル化(いわゆるエピジェネティクス)が過剰となり、糖尿病の発症要因となる。本研究では、褐色脂肪の退縮と活性低下機構について、DNAメチル基転移酵素と脂肪組織炎症反応の関連性を評価することで解明し、さらには食品摂取と代謝変動の視点からマウス等を用いた動物実験を通してベージュ細胞の活性に影響をもたらす食品成分の有効性について解明することを目指した。 本年度は、褐色脂肪細胞の機能に影響を及ぼす食品成分の動物での有用性の検証を実施し、その成果を原著論文として発表した。具体的には、食品に含まれる特定の脂肪酸代謝物がUCP1の遺伝子発現量を増加させ、生体内の代謝異常改善に一定の効果を発揮することを見出した。本研究で見いだされた知見は、単なる学術的新規性のみならず当該成分を含む機能性食品の創出に結びつけることで、食品産業界の活性化に寄与することが期待される。また、褐色脂肪特異的遺伝子のエピジェネティクス解析については、現在継続して解析中であり、褐色脂肪細胞で重要な役割を担うUCP1の発現制御にDNAメチル基転移酵素が関与しているか否かを今後検討し、UCP1発現とDNAメチル化の相関性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
褐色脂肪細胞に影響を与える食品成分の動物での有用性の検証については、概ね順調に研究が進んでいる一方、エピジェネティクス解析を用いたUCP1の発現制御及びDNAメチル基転移酵素との相関に関する検証については、予定よりやや遅れて研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ベージュ細胞の退縮と活性低下の防止及び改善をもたらす食品成分の動物での有用性の検証については、今後さらなる作用機序の解明あるいは新たな食品成分の探索に主軸を置いて研究を進める。 また、UCP1発現とDNAメチル化の相関性の検証については、エピジェネティク解析を活用した詳細な検討を今後実施する。
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