2016 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの森林植物を対象とした種および遺伝子多様性の包括的解析
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16H02553
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陶山 佳久 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60282315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘田 英典 九州大学, 理学研究院, 教授 (70216985)
矢原 徹一 九州大学, 理学研究院, 教授 (90158048)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱帯林 / 生物多様性 / 次世代シーケンシング / ゲノムワイドDNA分析 / MIG-seq法 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物多様性ホットスポットである東南アジアの森林を対象として、網羅的(全植物種)かつ包括的(種および遺伝子)生物多様性解析を行う研究を開始した。材料として、すでに分担者らが実施した7カ国30地域 100カ所以上の全植物種プロット調査データと、約13,000種2万点以上のDNA試料を利用する。本年度はこのうち、当初の計画どおりDNA未抽出試料約17000点のうちの8000点からのDNA抽出を完了した。 これらDNAサンプルの一部を対象として、代表者らが開発したゲノムワイドなDNA塩基配列分析法であるMultiplexed ISSR Genotyping by sequencing(MIG-seq)法を用いた解析を行った。まず、本研究アプローチ法の開発を目的として、東南アジア産シロダモ属81サンプル(既知種17、未記載種35)を対象とした系統分類学的解析を試みた。その結果、MIG-seq法を用いた分子系統分類学的な解析によっても、形態およびITSの塩基配列情報から部分的に推定されていた類縁関係によく合致する種間関係が示され、未記載種の位置付けも明らかになり、本研究アプローチの有効性が示された。また、MIG-seq法における細かな反応条件等の改良を目的とし、さまざまなPCR条件(PCRキット、プライマー濃度、アニーリング温度、サイクル数など)によりMIG-seqライブラリを構築し、得られたSNPデータの量や精度を比較検討した。その結果、より高精度で情報量の多いデータの取得が可能になり、本研究におけるDNA分析手法の基礎技術が大きく改善された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、DNA未抽出試料約17000点のうちの8000点からのDNA抽出を完了し、基礎技術の開発も順調に進んだ。しかし、当初はジャワ島のGede-Pangrangoで15の標高別に収集された1181試料の解析を行う予定であったが、計画を変更して東南アジア産シロダモ属の種間関係解析を先に行うことにした。研究計画全体としては大きな遅れにはなっていないが、当初予定していた単一地域を対象としたモデル的な解析は次年度に先送りすることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA未抽出試料約17000点のうち合計14000点からのDNA抽出を29年度までに完了させる予定であったが、29年度中にさらに多くのサンプルからのDNA抽出を完了する予定である。また、昨年実施できなかった特定地域を対象としたモデル的な解析を実施する。さらに種・遺伝子多様性の包括的評価法の開発に着手して、最終年度までに必要な課題の解決を進める。
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