2016 Fiscal Year Annual Research Report
Non-destructive measurement of engineering wood using terahertz time-domain spectroscopy
Project/Area Number |
16H02559
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
土川 覚 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30227417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小堀 光 静岡大学, 農学部, 助教 (20612881)
鈴木 滋彦 静岡大学, 農学部, 教授 (40115449)
稲垣 哲也 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (70612878)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | テラヘルツ時間領域分光法 / エンジニアリングウッド / 有効媒質理論 / 非破壊計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、テラヘルツ時間領域分光計測システムの開発を行った。名古屋大学において、数百フェムト秒オーダの時間幅をもったパルス発振レーザ、光伝導アンテナ、および特注試料ホルダー、光学ベンチを主たる構成要素とするテラヘルツ時間領域分光システム(透過・反射方式)を設計・試作した。テラヘルツビームスポットは1.0mmを達成することができた。また、十分なSN比を得ることが出来た。その後設計したシステムを用いて、木材試料の測定を試みた。いくつかの測定データ数・ステージ速度を検討し、木材にもっとも適した測定条件を決定した。その後、合板に用いられることの多いベイマツ材を複数用意し、そのテラヘルツスペクトルを測定した。ベイマツ単板(厚さ3mm)から50枚の試料を切り出し(20mm×20mm)、気乾状態でテラヘルツ時間領域分光測定に供した。試料の重量および寸法をテラヘルツスペクトル測定前と測定後に行った。木材の繊維方向とテラヘルツ波の偏光方向の角度が0°および90°となるようスペクトルを測定した。試料が無い状態の透過スペクトルをリファレンススペクトルとした。テラヘルツスペクトル測定後、試料を105℃で48時間乾燥させて全乾状態とし、得られた全乾重量とスペクトル測定時の重量および寸法から、試料の全乾密度および含水率を算出した。各種演算によって算出した周波数領域0.1-0.2Hzにおける複素屈折率平均値から、Hashinらの報告にならい含水率および密度の同時予測を試みた。その結果単一樹種であっても、その全乾密度および含水率が十分な精度で予測できることが分かった。また、木材は複屈折性を持つことが知られているが、本設計システムにおいても試料の繊維方向に対する偏光方向の角度によって、複素屈折率が変化することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画である「装置の設計」・「計測精度の評価」を完了した。これによりテラヘルツビームスポット、SN比ともに木材の材質推定に十分な値を達成した。また、いくつかの測定データ数・ステージ速度を検討し、木材にもっとも適した測定条件を決定した。また、本システムによる「ラミナの含水率、密度、繊維走行の非破壊推定」についてもベイマツ単板について測定・解析が完了している。テラヘルツスペクトルから各種演算によって算出した周波数領域0.1-0.2Hzにおけるベイマツ材の複素屈折率平均値を用い、Hashinらの報告にならい含水率および密度の同時予測を試みたところ、ベイマツ材の全乾密度および含水率を十分な精度で予測できることが示された。今後は様々な樹種で同様の実験を行い、より高い精度での予測方法を探索するためいくつかの異なる有効媒質理論を用いる予定である。これらまでの成果を、第67回日本木材学会大会(福岡大会)においてポスター発表を行った。また、平成29年度日本分光学会年次講演会でも発表する予定である。これらのことから、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はエンジニアリングウッドに用いられる様々な樹種を用いて、テラヘルツ時間領域スペクトル測定を行い、各種材質の予測および予測精度の評価を行う。その後作成したラミナを接着し(メラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート系、レゾルシノール系接着剤等を利用)、これらのTHz-TDS測定を行う。複素屈折率の虚数部を周波数領域で展開(スペクトル表示)し、各接着剤特有の吸収ピークを見出すとともにこれを多変量解析することによって、接着剤に関する判別分析(例えば、物質の同定や存在量の多寡を数値表現しうるSoft independent modelling of class analogy:SIMCA)を行い、その予測精度を確認する。その他、各物性値のマッピングに挑戦する。まず、ラミナを駆動ステージに装着してTHz-TDS測定を行い(空間分解能5-20mm)、初年度に確立したアルゴリズムを援用して密度、繊維走行に関する2次元マッピングを試みる。続いて、ラミナを複数枚接着した材料を準備して、同様の測定を行う。この際に、接着不良に対応する箇所(接着剤を塗布しない箇所)や接着剤少量塗布箇所を材料内に設け、それらの2次元マッピングを試みる。
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Research Products
(1 results)