2016 Fiscal Year Annual Research Report
カルボン酸を特異的に認識・活性化する触媒反応の開発とその応用
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16H02604
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹本 佳司 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20227060)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 不斉合成 / ボロン酸触媒 / アミノチオウレア触媒 / カルボン酸 / 共役付加反応 / 付加環化反応 / ハイブリッド触媒 / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
カルボン酸は極性が高い酸性官能基を有することから、反応基質として直接使用されることは稀であり、触媒研究で唯一残されている未開拓分野である。カルボン酸の触媒反応の開発を目指し、水素結合・イオン結合・配位結合による三重の活性化が期待できるボロン酸-チオ尿素ハイブリッド触媒を設計した。不飽和カルボン酸へのヘテロマイケル付加反応と付加環化反応に対する反応加速効果と立体選択性を指標として不斉ハイブリッド触媒の有効性を調査した。不飽和カルボン酸への直接的な不斉マイケル反応は未開拓な反応である。そこで不斉アザマイケル付加反応を検討した。新規触媒として、水素結合供与部にN-Boc基、スルホニル基、ウレア、チオウレアを有する種々のアミノアリールボロン酸触媒を10種類合成した。それぞれの触媒に対して、クロトン酸をモデル基質として、溶媒、濃度、温度、求核剤など反応条件の最適化をしたところ、チオウレアとボロン酸からなるハイブリッド触媒が有効であることが判明した。特に四塩化炭素中、室温下、ヒドロキシルアミン誘導体(BnONH2)を作用させることで、高エナンチオ選択的に目的のアザ・マイケル付加体が得られた。さらにこの反応には、MS4Aと芳香族カルボン酸の添加が高収率および高いエナンチオ選択性に必須であることを明らかにした。次に、付加環化反応として、Diels-Alder反応を上記の不斉触媒を用いて検討した。基質としてボロン酸触媒への配位が可能なアクリル酸と2,4-ペンタジエノールの反応を精査した結果、使用する溶媒により反応速度が異なること、共役付加反応とは異なりMS4Aの添加は必要ではないことなどを見出した。現時点では収率はまだ低い段階にあるが、幾つか有益な知見が得られたことから、不斉触媒と反応条件をさらに精査することで収率とエナンチオ選択性を向上できると考えている。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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