2016 Fiscal Year Annual Research Report
脳小血管の動的機能に注目した脳血管性認知症克服への戦略
Project/Area Number |
16H02656
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊島 靖子 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (20334675)
野崎 洋明 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20547567)
加藤 泰介 新潟大学, 脳研究所, 特別研究員 (30598496)
小山 哲秀 新潟大学, 脳研究所, 特任助教 (90622209)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症 / 脳小血管病 / CARASIL / HTRA1 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症の克服は喫緊の課題であり、脳血管性認知症は主因の一つである。この主病変として、近年、脳の小血管が注目され脳小血管病と称される。この病態として、従来は血管閉塞機転が唱えられてきたが、近年、脳小血管の機能である神経活動依存性血流調節機構の障害が唱えられている。この機構は、脳小血管の平滑筋や周皮細胞により担われる。脳小血管病では、これらの変性を伴うが、この変性の分子病態は不明である。我々は遺伝性脳小血管病の原因遺伝子HTRA1を単離し、本症が transforming growth factor (TGF)-βシグナルの亢進によることを明らかとした。さらにHTRA1欠損マウスが、孤発性脳小血管病類似の平滑筋・周皮細胞の変性を伴う小血管病変を示すことを見出した。本マウスにて脳小血管病の分子病態、特に、TGF-βシグナルによる小血管障害機構と、それによる活動依存性血流調節障害を明らかとし、脳小血管保護の視点から認知症への介入を目指す。今年度は、小血管病変病理の分子病態機序の解明を目的として、小血管病理変化の経時的検討に取り組み、内膜の肥厚、中膜の変性、内弾性板の異常の経時的変化を明らかとした。さらに内膜肥厚部にTGF-βを含むlatency associated peptide (LAP) が結合することを示した。また、中膜変性の主体が平滑筋細胞の収縮能力の減弱であることを示唆する所見を得た。さらに周皮細胞が内皮細胞から遊離していることを示した。さらに、内弾性板はelastinの線維形成により形成されるが、LTBPは内弾性板を形成するelastin の線維形成の起点となる。 LTBPとelastinとの関係について免疫組織化学的に解析を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定されていた本年度の計画内容は順当に終了し、初年度文の成果で論文発表を行うまでに至っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究成果を報告するために、データーの保管を行う、さらに、計画通りに、本年度以降の研究を遂行し、血管病変の分子病態機序を明確とするために、TGF-βの阻害剤などの投与によって、血管病変に変化は現れるか、また血管によって、変化に差があるかについて、透明化技術も用いて検討を加える。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Distinct molecular mechanisms of HTRA1 mutants in manifesting heterozygotes with CARASIL.2016
Author(s)
Nozaki H, Kato T, Nihonmatsu M, Saito Y, Mizuta I, Noda T, Koike R, Miyazaki K, Kaito M, Ito S, Makino M, Koyama A, Shiga A, Uemura M, Sekine Y, Murakami A, Moritani S, Hara K, Yokoseki A, Kuwano R, Endo N, Momotsu T, Yoshida M, Nishizawa M, Mizuno T, Onodera O.
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Journal Title
Neurology
Volume: 86
Pages: 1964-1974
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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