2016 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病発症における環境と栄養を感知するエピゲノム制御機構の解明
Project/Area Number |
16H02658
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 寿郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (80323020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 猛 東京大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (70306835)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エピゲノム / 脂肪細胞 / 生活習慣病 / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:エピゲノムは塩基配列を変えず、DNAやヒストンの化学修飾により遺伝子発現を変える環境への適応機構であり、生活習慣病発症に深く関与する。しかし、多様な外的環境の変化に対応して、どのように特異的にエピゲノムが変化するのか、その一連のメカニズム解明は不十分である。申請者は、環境変化に対するエピゲノム修飾酵素の翻訳後修飾とこれによって規定されるタンパク質複合体形成がクロマチン構造変化の初期応答 (1st step) として鍵となることを解明した。本研究では翻訳後修飾とタンパク質複合体解析を行い、環境刺激による初期応答からエピゲノム変化をともなう持続応答 (2nd step) へ至るまでのメカニズムを解明する。 成果:環境からの刺激(寒冷)がエピゲノムに統合されるかを解析した。マウスを寒冷下で飼育し、皮下脂肪組織を採取し、遺伝子の発現解析を行い、さらに、クロマチン免疫沈降法によってヒストンH3の9番目のリジンのメチル化を解析した(ChIP解析)。この結果、30℃で飼育したマウスに比べ、寒冷(4℃)で飼育したマウスは抑制系のクロマチンの修飾が減少した。これに対応して白色脂肪組織において熱産生遺伝子の上昇がみられ、白色脂肪組織がベージュ化していることが確認された。 さらに、ヒストンリジンの脱メチル化酵素KDMの遺伝子欠損マウス(KOマウス)と野生型マウスを寒冷環境下で飼育し同様の実験を行った。この結果、野生型マウスでは白色脂肪組織の褐色化の組織像が得られたのに対し、KOマウスでは褐色化が著しく減弱していた。ヒストンリジン残基の抑制修飾もKOマウスでは高値にとどまった。以上より、KDMが寒冷を感知しヒストンの抑制化修飾を脱メチル化することによって遺伝子発現に寄与することが示された。 本研究は現在、基盤S(課題番号16H06390)にて継続進行中である。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)