2017 Fiscal Year Annual Research Report
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫の病態解明と診断・治療法開発をめざす統合的アプローチ
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16H02660
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 滋 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60212049)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血管免疫芽球性T細胞リンパ腫 / RHOA / VAV1 |
Outline of Annual Research Achievements |
主要なT細胞リンパ腫である血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)について、(1)血清診断法確立による生検前診断、(2)新規ゲノム解析、(3)マウスモデル作製、(4)シグナル異常解明と治療法探索、を目的とする研究である。本年度は以下の成果が得られた。 (1) AITL腫瘍組織由来DNAで高頻度(60-70%)に同定されるRHOA遺伝子の一アミノ酸置換変異(G17V RHOA)について、検査会社と共同で検査商品化し、検査会社はカタログ収載した。G17V RHOA変異陽性AITL患者では血清DNAでG17V RHOA変異が検出可能であることを示して論文化(Ann Hematol, 2017)し、血清DNAを用いた検査商品化の目処をつけた。 (2) 一部のAITL患者でVAV1遺伝子の変異や融合遺伝子形成を同定していたが、G17V RHOAとVAV1機能との関連を解明した下記(4)項の成果と合わせ、論文発表(Leukemia, 2018)した。 (3) AITLでは、TET2遺伝子にも高頻度(>80%)で機能障害型変異が同定され、G17V RHOA変異はTET2変異と共存する。Tet2遺伝子を破壊しG17V RHOAを発現するマウスが、AITLと組織学的に類似する腫瘍を発症することを前年までに明らかにしたが、今年度は本腫瘍が免疫不全マウスに移植可能で、治療モデルが構築できることを確認した。 (4) G17V RHOAがVAV1に特異的に結合し、VAV1の機能を増強することを前年までに見出していたが、今年度はG17V RHOA-VAV1経路が、チロシンキナーゼであるダサチニブによる治療標的になることを示し、上記(2)項の成果と合わせ論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)AITLの腫瘍由来DNAを用いたG17V RHOA変異検査を検査会社との共同研究で商品化した。血清DNAを用いた同変異検出について論文化した。 (2)ゲノム解析については、RHOA変異とVAV1変異・融合遺伝子形成との排他性について統計的有意差を示して論文化した。 (3)AITLのマウスモデルが構築に続き、発生した腫瘍細胞を免疫不全マウスに移植してレシピエントマウスでの腫瘍解析ができるようになった。これにより、多数のマウスで腫瘍の状態を同期させた状態で治療実験が開始できている。 (4)G17V RHOAとVAV1との特異的結合、およびこの結合によるVAV1リン酸化亢進を明らかにし、チロシンキナーゼ阻害剤によるAITL治療の可能性について、マウスモデルの実験に加え、臨床試験を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)検査会社との共同研究を進め、血清DNA検査の商品化を目指す。商品化されれば、AITLおよび類縁の濾胞性ヘルパーT細胞リンパ腫が、かなりの確度で生検前診断できるようになる。このため、これら希少疾患について、生検検体を生細胞の状態で詳細な検討を加えられるようになる。 (2)ゲノム解析については、新たに417遺伝子の解析が可能なパネルを用意した。今後はこのパネルを用いて多数のAITLおよび類縁疾患のゲノム解析を行う。 (3)AITLのマウスモデルで発生した腫瘍由来細胞を免疫不全マウスに移植する系が確立した。この系を用いて、チロシンキナーゼ阻害剤・ダサチニブ、およびその他の薬剤の治療効果を検証する。 (4)生検前に血清でG17V RHOA変異陽性が確認できたケースについて、生検時にB細胞その他の細胞を分取して保存し、リンパ腫のパネル標的シークエンスを行うことで、AITL組織由来B細胞リンパ腫発症機構解明の手がかりを得る。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Clinical significance of disease-specific MYD88 mutations in circulating DNA in primary central nervous system lymphoma2018
Author(s)
Hattori K, Sakata-Yanagimoto M, Suehara Y, Yokoyama Y, Kato T, Kurita N, Nishikii H, Obara N, Takano S, Ishikawa E, Matsumura A, Hasegawa Y, Chiba S
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Journal Title
Cancer Sci
Volume: 109
Pages: 225-230
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Droplet digital PCR assay and PNA-LNA clamp method for RHOA mutation detection in angioimmunoblastic T-cell lymphoma2018
Author(s)
Tanzima Nuhat S, Sakata-Yanagimoto M, Komori D, Hattori K, Suehara Y, Fukumoto K, Fujisawa M, Kusakabe M, Matsue K, Wakamatsu H, Shimadzu M, Chiba S
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Journal Title
Cancer Sci
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] MYD88 (L265P) mutation is associated with an unfavourable outcome of primary central nervous system lymphoma2017
Author(s)
Hattori K, Sakata-Yanagimoto M, Okoshi Y, Goshima Y, Yanagimoto S, Nakamoto-Matsubara R, Sato T, Noguchi M, Takano S, Ishikawa E, Yamamoto T, Matsumura A, Chiba S
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Journal Title
Br J Haematol
Volume: 177
Pages: 492-494
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Detection of the circulating tumor DNAs in angioimmunoblastic T- cell lymphoma2017
Author(s)
Sakata-Yanagimoto M, Nakamoto-Matsubara R, Komori D, Nguyen TB, Hattori K, Nanmoku T,Kato T, Kurita N, Yokoyama Y, Obara N, Hasegawa Y, Shinagawa A, Chiba S
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Journal Title
Ann Hematol
Volume: 96
Pages: 1471-1475
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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