2016 Fiscal Year Annual Research Report
進行消化器癌に対するα線核種内照射療法による治療戦略の確立
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16H02668
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
絹谷 清剛 金沢大学, 医学系, 教授 (20281024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萱野 大樹 金沢大学, 附属病院, 助教 (10547152)
稲木 杏吏 金沢大学, 医学系, 助教 (40645131)
鷲山 幸信 金沢大学, 保健学系, 助教 (80313675)
小川 数馬 金沢大学, 新学術創成研究機構, 准教授 (30347471)
村山 敏典 金沢大学, 附属病院, 教授 (30378765)
吉村 健一 金沢大学, 附属病院, 特任教授 (30415517)
今井 康人 金沢大学, 附属病院, 特任教授 (60720878)
栗林 義和 金沢大学, 附属病院, 特任教授 (40756186)
織内 昇 福島県立医科大学, ふくしま国際医療科学センター, 教授 (40292586)
伊藤 浩 福島県立医科大学, ふくしま国際医療科学センター, 教授 (20360357)
富永 英之 福島県立医科大学, ふくしま国際医療科学センター, 准教授 (00393348)
久保 均 福島県立医科大学, ふくしま国際医療科学センター, 教授 (00325292)
稲野 彰洋 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (30437933)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | α線 / 大腸癌 / 内照射療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
サイクロトロンMP-30(α:32 MeV)を使用して209Bi(α, 2n)211At反応で211Atの製造を行った。副核生成物である210Atの生成を防ぐ目的で、デグレーダとしてアルミ製フォイルを使用し、ターゲット入射エネルギーを最適化した。ターゲット材の高純度金属ビスマスをニオブ製容器に充填した後に上記フォイルにて封印した。このサイクロトロンは211Atの製造に有利な垂直照射機構を採用しており、この機構に合わせてターゲットの性状や容器に工夫を加えた。ビーム電流を20μA で8時間照射終了後、ターゲットとアルミニウムを硝酸に溶解して生成物を抽出し、ゲルマニウム半導体検出器とウェルカウンター(64Cu測定条件下)を用いて精製前後にγ線スペクトル分析を行い、異核種の混入を解析し211Atの生産量を定量した。約1.5GBq(照射終了時)の211Atターゲット収量を得、210Atが生成していないことを確認した。 211At応用の予備実験として、αVβ3インテグリンに高い親和性を示す環状RGDペプチドをモデルペプチドとして、c(RGDfK)のリシンε-アミノ基に125I標識安息香酸誘導体を結合させた化合物125IB-c(RGDfK)とc(RGDfK)のD-フェニルアラニンのベンゼン環パラ位にトリブチルスズ基を導入した化合物を標識前駆体として125I標識した化合物125I-c(RGDfK)とを合成し評価を行った。両化合物の標識反応は、同様の反応で211At標識が可能であることを確認済みである。結合能、生体内分布評価の結果、125I-c(RGDfK)がすぐれていると考えられた。211At標識を行った場合も125I標識体と類似した体内動態を示すことが期待されるため、211At-c(RGDfK)の方が211AtB-c(RGDfK)よりも有望であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標であった211At生成を、研究計画に乗っ取って使用可能な数量と精度で行うことが可能となった。数量的には、将来臨床応用ができるレベルに近いところまで達成できている。標識対象としては、モデルとしてペプチドを用いて基礎検討を行ったが、このペプチドのα標識体の方向性が決定された。今後、当初目的であるモノクローナル抗体とこのペプチドをターゲット分子、分子サイズの相違などの面から比較検討することができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
211At標識抗体、ペプチドの品質評価、試験管内における殺細胞効果、実験動物における体内動態観察を行う。 放射標識体合成はリジン残基εアミノ基への211At標識化合物の導入により行う。ペプチド標識は前年度の検討で得られた対象で標識を行う。標識体の腫瘍細胞結合能、親和性、安定性の評価を行う。 皮下担癌モデル、肝転移モデル、腹腔内播種モデルにおいて、経時的な体内分布/動態を把握する。 撮像可能性探索を、壊変に伴う娘核種の放出するγ線や電子捕獲で生じる特性X線などによる撮像で行う。小動物用SPECT/CT装置と核種溶液を用いて検証し、さらに実験動物での撮像を試みる。 将来の臨床展開のために、治療用放射性医薬品のレギュラトリーサイエンスに関わる情報収集を臨床研究マネージメントの観点で開始する。
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