2016 Fiscal Year Annual Research Report
Forest determinant factors and the effects of precipitation shift under global climate changeo in Thailand
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16H02708
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 厚 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (60343787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 智之 国立研究開発法人森林総合研究所, 森林総合研究所東北支所, 主任研究員 (00414483)
山路 恵子 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00420076)
前田 高尚 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (10357981)
矢崎 健一 国立研究開発法人森林総合研究所, 森林総合研究所植物生態研究領域, 主任研究員 (30353890)
安立 美奈子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (40450275) [Withdrawn]
横沢 正幸 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80354124)
吉村 謙一 山形大学, 農学部, 准教授 (20640717)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タイ / 熱帯季節林 / Dry Evergreen Forest / Mixed Deciduous Forest / Dry Dipterocarp Forest / 温暖化 / フェノロジー / 降水変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
タイでは近年、雨季に乾燥期間が見られたり、乾季が短くなったり長くなったりと、降水量の年変動が激しくなっている。そこで今まで、10年以上に渡って継続調査してきた、林冠タワーを使っての、微気象測定の継続、炭素フラックスの測定の継続、また林冠葉や花のフェノロジーの定点観測カメラによる毎日の継続測定をできるよう、機器のメンテナンスを行った。また森林の炭素貯留量や森林動態を継続測定している長期モニタリングプロットで、森林樹木の毎木調査を行った。またタイでは、雨季始めと後半に、降雨のピークが2回見られ、またエルニーニュやラニーニャの影響を受け、降雨ピークが後半の1回しかないことがわかってきた。そのような年には、特に常緑樹のホペアの新葉の展開は、雨季後半の降雨ピークで新葉が開き、乾季にそれらが枯れてしまうような現象が見られた。そこで10年にわたりほぼ毎日撮影してたカメラシステムの映像から、ホペアの新葉の展開と降雨のタイミングとの関係の解析を開始した。またそのカメラシステムの映像から、落葉樹のディレニアの開花も、年による開花年が大きくばらつき、また一斉開花的な年もあれば、個体による開花が大きくづれる年があることがわかってきた。そこで、特に今年度は、画像解析の方法の検討を行い、過去10年間の降雨のパターンの年変動と、開花や開葉のフェノロジーとの間の解析をできるようにしてきた。 またH28年度は、乾燥が長引き、特に林冠を突き抜けるエマージェントtreeの枯死も見られた。さらに、普通は何十年に一度一斉開花し枯死する竹類でも、タイのあちらこちらの地域で部分開花、枯死している現象が見つかり、乾燥影響と関連があるか、タイ側の研究者とともに、樹木や竹類の部分開花、枯死状況を調べ出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイでの調査許可も、平成28年度中に得ることができた。 またタワー上の測定機器の更新など行い、今後の観測に支障がないようメンテナンスや故障機器の入れ替えなど、野外での連続観測が可能なように整備していった。さらにタイ側の研究者と、過去10年のカメラシステムから得られた映像を用いたフェノロジーと降雨との関係の解析、平成28年度に特異に見られたエマージェントtreeの枯死や、竹の部分開花枯死など、今後の降水量変動と生態系に及ぼす影響評価をするための、研究打ち合わせを行った。できる限り来年度に論文化し投稿できるよう、実験室での画像を用いた解析方法の検討を行ってきた。特に今年2017年は、開花が遅れているようで、今年のデータも加え解析していく。また来年度から、サンプリングを含むような野外調査も進められるよう、十分な研究体制も整えていった。
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Strategy for Future Research Activity |
特に室内では、画像解析によって、過去10年間の降雨パターンの年変動と開花、開葉フェノロジーの解析を進めていく。その後、平成28年度に特異に見られたエマージェントtreeの枯死過程を、画像解析から行っていく。これは降水量変動の生態系への影響評価を端的に示せるデータとして、できる限り早めに、目標として来年度中には論文化し、投稿できるようにしていく。 また現地調査としては、雨季と乾季に林冠のシュートをサンプリングし、光合成やその葉内の色素や窒素やリン、カルシウム含量の測定といった化学分析を、常緑樹林(Dry Evergreen Forest)と、異なった2つのタイプの落葉樹林(Mixed Deciduous Forest とDry Dipterocarp Forest)の樹木種で行い、林冠葉の生理機能の季節変動と、森林タイプ ごとでの樹種特性との関係を調べていく。さらに既存の観測タワーを用いて、微気象、林冠の炭素フラックス観測、およびタワー上部に備えつけたカメラシステムによる毎日のフェノロジー観測を継続させていく。 また今までのタイのカウンターパートとの共同研究による成果として、特にタイ側のカウンターパートが第1著者になるような論文を、国際誌に投稿していけるようにしていく。
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Research Products
(15 results)