2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of food web and biodiversity mechanism of Lake Taihu where the occurrence of water bloom is normalized
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16H02747
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 修 東北大学, 工学研究科, 教授 (80208214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 直幸 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (20285191)
坂巻 隆史 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60542074)
野村 宗弘 東北大学, 工学研究科, 助教 (70359537)
藤林 恵 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (70552397)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 必須脂肪酸 / 食物連鎖 / 藍藻 / 有機物 / 堆積物 |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類群集による藍藻の炭素の食物源としての利用についてはよくわかっていない.そこで,脂肪酸バイオマーカーを使用し,脂肪酸の炭素安定同位体比とバルクの炭素・窒素安定同位体比を測定して日本の代表的な富栄養湖である八郎湖における藍藻の炭素の魚類への移動を調べた.5種類の魚(Hypomesus nipponensis、Carassius sp.、Cyprinus carpio、Tridentiger brevispinis、Gymnogobius castaneus)とセストンを2016年6月から11月にかけて収集した.この期間中藍藻による水の華は8月から10月にかけて観察された.6月から8月にかけて藍藻の脂肪酸バイオマーカー(18:2ω6と18:3ω3)は5種の全脂肪酸の1.4~4.3%に過ぎず,この期間における藍藻の食物源としての寄与は低い.しかしながら,これらの魚種における藍藻の脂肪酸バイオマーカーの寄与は,2年目のH. nipponensisを除いて9月に急激に増加し(10.5-17.1%),これらの魚種の安定炭素同位体比18:3ω3は,藍藻を主成分とするセストンのものとほぼ同等であった.収集した魚種の栄養段階は,それらの窒素安定同位体比の値に基づいて1.6から3.4の範囲と推定され,ある魚は藍藻を直接摂取し,他の魚は間接的に食物連鎖を通して藍藻を摂取したことがわかった.これらの知見は,藍藻の炭素が,藍藻による水の華が発生する富栄養湖の生態系において食物連鎖により上位に移動することを示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はポスドクを雇用して研究に専念させたため,太湖調査等が円滑に実施でき,研究の進展が図られた.また,対照とした八郎湖の研究も進み,本研究課題に即した研究成果が積み重ねられた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に3回実施した太湖の調査結果の解析を進めるとともに,室内実験レベルで必須脂肪酸を含まないバクテリアを食物源とした微小後生動物の培養を実施し,動物自身による増殖に必要なレベルでの必須脂肪酸合成の可能性を探るとともに,藍藻の異常増殖が常態化する水環境における生態系の成り立ちを明らかにし,地球温暖化による藍藻類の優占化が湖沼生態系に及ぼす影響を考察する.
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