2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H02759
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 一秀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60270899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30324552)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 熱帯林 / 菌根菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
伐採や火災などの人間活動の影響によって東南アジアの森林は急速に消失・劣化し、地域経済や地域環境の深刻な問題となっている。一般に熱帯地域での森林再生は難しいが、その原因はよく分かっていない。近年、温帯域での研究によって、森林を構成する樹木の多くは菌根菌という根に共生する菌類に養分吸収の大部分を依存しており、樹木の定着や森林の回復に菌根菌が決定的な役割を果たしていることが明らかになってきた。研究代表者らのこれまでのプロジェクトによって、一部の熱帯樹木の菌根菌群集が明らかになってきたものの、熱帯・亜熱帯林の回復を担う菌根菌については不明の点が多い。そこで本研究では、アジアの熱帯から亜熱帯にかけて、攪乱後の二次林を中心に、菌根菌群集と埋土胞子群集を明らかにし、森林再生の鍵をにぎる菌根菌を探索する。 インドネシアにおいては、バンカ島の攪乱地に自然再生しているTristaniopsis樹木の優占する森林において菌根を採取し、DNA解析に基づく菌種の同定を行なった。ベトナムにおいては、ブナ科樹木が優占する森林、および攪乱跡地にマツ類が定着している森林を対象にして現地調査を実施し、採取した菌根及び菌根菌の子実体からDNAを抽出し、現在は菌種の同定作業を進めている。また、各菌根の宿主樹種については葉緑体DNAの塩基配列によって決定作業を実施中である。バンカ島で得られたデータについては、各林分の菌根菌の推定種数、多様度、群集構造などの解析を行ない、学会発表を行なった。 台湾において予備調査を行い、現地調査の許可や交渉を進めている。また、日本国内において温室を設置し、熱帯樹木に対する菌根菌の効果を調べるための環境を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画を達成できており、概ね順調な進展であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って研究を着実に実施する。
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