2016 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental factors and phylogenetic constraints influencing a risk of tree mortality by ambrosia beetle attacks
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16H02760
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 直人 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (90303255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹本 周平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90724724)
楠本 大 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (80540608)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | キクイムシ / 寄主植物 / 系統関係 / 群集動態 / 非平衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
タイ国チェンマイにおいて2016年7月、インド国アルナチャル州で2016年11月に、採集を行った。 タイでは、標高約1400mに位置するチェンマイ大学高地農場の森林内の2地点と、果樹園に接する林縁部2地点に、12の目(order)から選んだ各目異種の植物の太枝をベイトとして約8週間設置した。また、エタノールを誘引剤、プロピレングリコールを保存剤として用いたトラップを各地点に3基設置した。ベイト枝からは約60種、エタノールトラップでもほぼ同数のキクイムシ類が採集された。採集されたキクイムシ類は形態種にソーティングした後、元チェンマイ大学教授のRoger Beaver博士に同定を依頼した。約9割の形態種が同定済みである。これらのサンプルからDNAを抽出し、系統解析を行った。また、ベイトに使った樹種の系統距離とキクイムシ群集の関係を解析した。その結果、樹木の系統関係と群集の類似度には負の関係が見られたが、関係は有意ではなく、日本の冷温帯(秩父)で調査した結果よりも関係が弱かった。エタノールトラップとベイト間の重複率は約50%であった。この結果は、エタノールに誘引される種が約半数であること、ベイト枝によってキクイムシ群集の全容を知るためにはベイトとして使用する植物の分類群をより多様にする必要があることを示している。エタノールトラップで捕獲されたキクイムシ群集の季節変動と年変動をタイと日本で比較すると、タイの方が季節変動は小さいが年変動は大きかった。この結果は、タイの群集の方がより非平衡的であることを示しており、気温が高いことにより寄主植物の分解が早いことがその原因の一つではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
寄主植物-昆虫間の解析については、当初の計画よりも進んでいる。一方で、共生微生物の研究については、当初の予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
植物と昆虫の系統関係解析は進んでいるが、今後、共生微生物を含めた3者間の群集構造解析を進める。共生微生物の群集解析には、次世代シーケンサーを用いたメタゲノム解析の手法を確立する必要があるため、H29年度予算で解析手法の確立をめざす。
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Research Products
(5 results)